大和の国のこころ、万葉のこころ

不肖私がこよなく愛する『万葉集』の鑑賞blogです。

防人の歌(15)・・・巻第20-4328~4330

訓読 >>> 4328大君(おほきみ)の命(みこと)畏(かしこ)み磯(いそ)に触(ふ)り海原(うのはら)渡る父母(ちちはは)を置きて 4329八十国(やそくに)は難波(なには)に集(つど)ひ船(ふな)かざり我(あ)がせむ日ろを見も人もがも 4330難波津…

苦しくも降り来る雨か・・・巻第3-265

訓読 >>> 苦しくも降り来る雨か三輪(みわ)の崎(さき)狭野(さの)の渡りに家もあらなくに 要旨 >>> 何と鬱陶しいことに雨が降ってきた。三輪の崎の狭野の渡し場に、雨宿りする家もないのに。 鑑賞 >>> 長忌寸意吉麻呂(ながのいみきおきまろ)…

坂上郎女が大伴家持に贈った歌・・・巻第17-3927~3930

訓読 >>> 3927草枕(くさまくら)旅行く君を幸(さき)くあれと斎瓮(いはひべ)据(す)ゑつ我(あ)が床(とこ)の辺(へ)に 3928今のごと恋しく君が思ほえばいかにかもせむするすべのなさ 3929旅に去(い)にし君しも継(つ)ぎて夢(いめ)に見ゆ我…

大伴家持と大伴坂上郎女の歌・・・巻第8-1619~1620

訓読 >>> 1619玉桙(たまほこ)の道は遠けどはしきやし妹(いも)を相(あひ)見に出でてぞ我(あ)が来(こ)し1620あらたまの月立つまでに来ませねば夢(いめ)にし見つつ思ひそ我(あ)がせし 要旨 >>> 〈1619〉道のりは遠くても、いとおしいあなた…

秋さらば見つつ偲へと・・・巻第3-464~465

訓読 >>> 464秋さらば見つつ偲(しの)へと妹(いも)が植ゑしやどのなでしこ咲きにけるかも 465うつせみの世は常(つね)なしと知るものを秋風 寒(さむ)み偲(しの)ひつるかも 要旨 >>> 〈464〉秋になったらごらんになって私を思い出してください…

今よりは秋風寒く吹きなむを・・・巻第3-462~463

訓読 >>> 462今よりは秋風(あきかぜ)寒く吹きなむを如何(いかに)かひとり長き夜(よ)を寝(ね)む 463長き夜(よ)をひとりや寝(ね)むと君が言へば過ぎにし人の思ほゆらくに 要旨 >>> 〈462〉これから秋風が寒く吹く時節を迎えるのに、どのよう…

昔こそ難波田舎と言はれけめ・・・巻第3-312

訓読 >>> 昔こそ難波田舎(なにはゐなか)と言はれけめ今は都(みやこ)引き都(にやこ)びにけり 要旨 >>> 昔こそは、難波田舎と呼ばれていたであろう。しかし、今では都を引き移してすっかり都らしくなってきた。 鑑賞 >>> 神亀3年(726年)、藤…

相見ては面隠さるるものからに・・・巻第11-2554

訓読 >>> 相(あひ)見ては面(おも)隠さるるものからに継(つ)ぎて見まくの欲(ほ)しき君かも 要旨 >>> 顔を合わせると、恥ずかしくて顔を隠したくなるのですが、それなのに、すぐにまた見たいと思う、あなたなのです。 鑑賞 >>> 結婚後間もな…

大宮の内にも外にもめづらしく・・・巻第19-4285~4287

訓読 >>> 4285大宮の内(うち)にも外(と)にもめづらしく降れる大雪な踏(ふ)みそね惜(を)し 4286御園生(みそのふ)の竹の林に鴬(うぐひす)はしば鳴きにしを雪は降りつつ 4287鴬(うぐひす)の鳴きし垣内(かきつ)ににほへりし梅この雪にうつろ…

御民我れ生ける験あり・・・巻第6-996

訓読 >>> 御民(みたみ)我(わ)れ生ける験(しるし)あり天地(あめつち)の栄(さか)ゆる時にあへらく思へば 要旨 >>> 天皇の御民である私は、まことに生きがいを感じております。天も地も一体となって栄えているこの御代に生まれ合わせたことを思…

雄略天皇の御製歌・・・巻第1-1

訓読 >>> 籠(こ)もよ み籠(こ)持ち 掘串(ふくし)もよ み掘串(ふくし)持ち この岳(をか)に 菜(な)摘(つ)ます児(こ) 家(いへ)告(の)らせ 名告らさね そらみつ 大和の国は おしなべて われこそ居(を)れ しきなべて われこそ座(いま)…

東歌(21)・・・巻第14-3386

訓読 >>> にほ鳥の葛飾(かづしか)早稲(わせ)を饗(にへ)すともその愛(かな)しきを外(と)に立てめやも 要旨 >>> 葛飾の早稲を神に捧げる新嘗祭の夜であっても、愛しいあの人を外に立たせておくことなどできない。 鑑賞 >>> 「にほ鳥の」の…

大伴旅人が遊行女婦、児島の歌に答えた歌・・・巻第6-967~968

訓読 >>> 967倭道(やまとぢ)の吉備(きび)の児島(こじま)を過ぎて行かば筑紫(つくし)の児島(こじま)思ほえむかも968大夫(ますらを)と思へる吾(われ)や水茎(みづくき)の水城(みづき)のうへに涕(なみだ)拭(のご)はむ 要旨 >>> 〈96…

遊行女婦の児島が大伴旅人に贈った歌・・・巻第6-965~966

訓読 >>> 965凡(おほ)ならばかもかも為(せ)むを恐(かしこ)みと振(ふ)り痛(た)き袖(そで)を忍びてあるか966倭道(やまとぢ)は雲隠(くもがく)りたり然(しか)れどもわが振(ふる)る袖(そで)を無礼(なめ)しと思ふな 要旨 >>> 〈965…

月草のうつろふ心・・・巻第12-3058~3059

訓読 >>> 3058うちひさす宮にはあれど月草(つきくさ)のうつろふ心(こころ)我(わ)が思はなくに 3059百(もも)に千(ち)に人は言ふとも月草(つきくさ)のうつろふ心 我(わ)れ持ためやも 要旨 >>> 〈3058〉華やかな宮仕えをしていますが、色の…

梓弓末は知らねど・・・巻第12-3149~3150

訓読 >>> 3149梓弓(あづさゆみ)末(すゑ)は知らねど愛(うるは)しみ君にたぐひて山道(やまぢ)越え来(き)ぬ 3150霞(かすみ)立つ春の長日(ながひ)を奥処(おくか)なく知らぬ山道(やまぢ)を恋ひつつか来(こ)む 要旨 >>> 〈3149〉行く末…

生きてあらば見まくも知らず・・・巻第4-581~584

訓読 >>> 581生きてあらば見まくも知らず何(なに)しかも死なむよ妹(いも)と夢に見えつる 582ますらをもかく恋ひけるをたわやめの恋ふる心にたぐひあらめやも 583月草(つきくさ)のうつろひやすく思へかも我(あ)が思ふ人の言(こと)も告げ来(こ)…

妹が名は千代に流れむ・・・巻第3-228~229

訓読 >>> 228妹(いも)が名は千代(ちよ)に流れむ姫島(ひめしま)の小松(こまつ)が末(うれ)に蘿(こけ)生(む)すまでに 229難波潟(なにはがた)潮干(しほひ)なありそね沈みにし妹(いも)が姿を見まく苦しも 要旨 >>> 〈228〉その娘の名は…

嬥歌(かがい)の会の歌・・・巻第9-1759~1760

訓読 >>> 1759鷲(わし)の住む 筑波の山の 裳羽服津(もはきつ)の その津の上に 率(あども)ひて 娘子(をとめ)壮士(をとこ)の 行き集(つど)ひ かがふ嬥歌(かがひ)に 人妻に 我(わ)も交(まじ)はらむ 我(わ)が妻に 人も言(こと)問へ こ…

立ちしなふ君が姿を忘れずは・・・巻第20-4440~4441

訓読 >>> 4440足柄(あしがら)の八重山(やへやま)越えていましなば誰(た)れをか君と見つつ偲(しの)はむ 4441立ちしなふ君が姿を忘れずは世の限りにや恋ひわたりなむ 要旨 >>> 〈4440〉足柄の八重に重なる山々を越えて行ってしまわれたら、誰を…

我妹子は釧にあらなむ・・・巻第9-1766

訓読 >>> 我妹子(わぎもこ)は釧(くしろ)にあらなむ左手の我(わ)が奥(おく)の手に巻きて去(い)なましを 要旨 >>> あなたが釧であったらいいのに。そしたら、左手の私の大事な奥の手に巻いて旅立とうものを。 鑑賞 >>> 振田向宿祢(ふるの…

我が恋ひ死なば誰が名ならむも・・・巻第12-3105~3106

訓読 >>> 3105人目(ひとめ)多み直(ただ)に逢はずてけだしくも我(あ)が恋ひ死なば誰(た)が名ならむも 3106相(あひ)見まく欲しきがためは君よりも我(わ)れぞまさりていふかしみする 要旨 >>> 〈3105〉人目が多いからといってじかに逢ってく…

聞かずして黙もあらましを・・・巻第13-3303~3304

訓読 >>> 3303里人(さとびと)の 我(あ)れに告(つ)ぐらく 汝(な)が恋ふる 愛(うるは)し夫(づま)は 黄葉(もみちば)の 散りまがひたる 神奈備(かむなび)の この山辺(やまへ)から[或る本に云く、その山辺] ぬばたまの 黒馬(くろま)に乗…

み雪降る吉野の岳に居る雲の・・・巻第13-3293~3294

訓読 >>> 3293み吉野の 御金(みかね)の岳(たけ)に 間(ま)なくそ 雨は降るといふ 時(とき)じくそ 雪は降るといふ その雨の 間(ま)なきがごとく その雪の 時じきがごと 間(ま)も落ちず 我(あ)れはそ恋ふる 妹(いも)が正香(ただか)に 3294…

橘諸兄の歌・・・巻第17-3922

訓読 >>> 降る雪の白髪(しろかみ)までに大君(おほきみ)に仕へまつれば貴(たふと)くもあるか 要旨 >>> 降り積もる雪のように、真っ白な白髪になるまで大君にお仕えさせていただいたことは、恐れ多く尊いことでございます。 鑑賞 >>> 聖武天皇…

風交り雪は降りつつ・・・巻第10-1836~1838

訓読 >>> 1836風(かぜ)交(まじ)り雪は降りつつしかすがに霞(かすみ)たなびき春さりにけり 1837山の際(ま)に鴬(うぐひす)鳴きてうち靡(なび)く春と思へど雪降りしきぬ 1838峰(を)の上(うへ)に降り置ける雪し風の共(むた)ここに散るらし…

雲隠り行くへをなみと・・・巻第6-984

訓読 >>> 雲隠(くもがく)り行くへをなみと我(あ)が恋ふる月をや君が見まく欲(ほ)りする 要旨 >>> 雲に隠れて行方が分からないと、私が心待ちにしている月を、あなたも見たいとお思いでしょうか。 鑑賞 >>> 豊前国の娘子の月の歌。「娘子の字…

梅の花夢に語らく・・・巻第5-852

訓読 >>> 梅の花(はな)夢(いめ)に語らくみやびたる花と我思(あれも)ふ酒に浮かべこそ 要旨 >>> 梅の花が、夢の中で私に語ったことには、私は自分を風雅な花だと自負してます、どうか私にふさわしく、酒杯に浮かべてください、と。 鑑賞 >>> …

霞立つ春の初めを・・・巻第20-4300

訓読 >>> 霞(かすみ)立つ春の初めを今日(けふ)のごと見むと思へば楽しとぞ思ふ 要旨 >>> 春の初めのめでたい時を、今日のようにこれからもお逢いできると思うと楽しゅうございます。 鑑賞 >>> 天平勝宝6年(754年)正月、大伴一族が家持邸に集…

難波の天皇の妹君の歌・・・巻第4-484

訓読 >>> 一日(ひとひ)こそ人も待ちよき長き日(け)をかくのみ待たばありかつましじ 要旨 >>> 一日ぐらいなら待たされてもよろしいけれど、こんなに幾日も長く待たされたのでは、とても生きてはいられない気持ちです。 鑑賞 >>> 巻第4の巻頭歌。…