大和の国のこころ、万葉のこころ

不肖私がこよなく愛する『万葉集』の鑑賞blogです。

巻第15

遣新羅使人の歌(13)・・・巻第15-3595~3599

訓読 >>> 3595朝開(あさびら)き漕ぎ出(で)て来れば武庫(むこ)の浦の潮干(しほひ)の潟(かた)に鶴(たづ)が声すも 3596我妹子(わぎもこ)が形見(かたみ)に見むを印南都麻(いなみつま)白波(しらなみ)高み外(よそ)にかも見む 3597わたつ…

中臣宅守と狭野弟上娘子の贈答歌(17)・・・巻第15-3782~3785

訓読 >>> 3782雨隠(あまごも)り物思(ものも)ふ時に霍公鳥(ほととぎす)我(わ)が住む里に来(き)鳴き響(とよ)もす 3783旅にして妹(いも)に恋ふれば霍公鳥(ほととぎす)我(わ)が住む里にこよ鳴き渡る 3784心なき鳥にぞありける霍公鳥(ほと…

中臣宅守と狭野弟上娘子の贈答歌(16)・・・巻第15-3779~3781

訓読 >>> 3779我(わ)が宿(やど)の花橘(はなたちばな)はいたづらに散りか過ぐらむ見る人なしに 3780恋ひ死なば恋ひも死ねとや霍公鳥(ほととぎす)物思(ものも)ふ時に来(き)鳴き響(とよ)むる 3781旅にして物思(ものも)ふ時に霍公鳥(ほとと…

中臣宅守と狭野弟上娘子の贈答歌(15)・・・巻第15-3775~3778

訓読 >>> 3779我(わ)が宿(やど)の花橘(はなたちばな)はいたづらに散りか過ぐらむ見る人なしに 3780恋ひ死なば恋ひも死ねとや霍公鳥(ほととぎす)物思(ものも)ふ時に来(き)鳴き響(とよ)むる 3781旅にして物思(ものも)ふ時に霍公鳥(ほとと…

中臣宅守と狭野弟上娘子の贈答歌(14)・・・巻第15-3775~3778

訓読 >>> 3775あらたまの年の緒(を)長く逢はざれど異(け)しき心を我(あ)が思(も)はなくに3776今日(けふ)もかも都なりせば見まく欲(ほ)り西の御馬屋(みまや)の外(と)に立てらまし 3777昨日(きのふ)今日(けふ)君に逢はずてする術(すべ…

中臣宅守と狭野弟上娘子の贈答歌(13)・・・巻第15-3771~3774

訓読 >>> 3771宮人(みやひと)の安寐(やすい)も寝(ね)ずて今日今日(けふけふ)と待つらむものを見えぬ君かも 3772帰りける人(ひと)来(きた)れりと言ひしかばほとほと死にき君かと思ひて 3773君が共(むた)行かましものを同じこと後(おく)れ…

遣新羅使人の歌(12)・・・巻第15-3605~3609

訓読 >>> 3605わたつみの海に出(い)でたる飾磨川(しかまがは)絶えむ日にこそ我(あ)が恋やまめ 3606玉藻(たまも)刈る処女(をとめ)を過ぎて夏草の野島(のしま)が崎に廬(いほ)りす我(わ)れは 3607白たへの藤江(ふぢゑ)の浦に漁(いざ)り…

中臣宅守と狭野弟上娘子の贈答歌(12)・・・巻第15-3767~3770

訓読 >>> 3767魂(たましひ)は朝夕(あしたゆふへ)にたまふれど我(あ)が胸(むね)痛し恋の繁(しげ)きに 3768このころは君を思ふとすべもなき恋のみしつつ音(ね)のみしぞ泣く 3769ぬばたまの夜(よる)見し君を明くる朝(あした)逢はずまにして…

中臣宅守と狭野弟上娘子の贈答歌(11)・・・巻第15-3763~3766

訓読 >>> 3763旅と言へば言(こと)にぞやすきすべもなく苦しき旅も言(こと)にまさめやも 3764山川(やまがは)を中に隔(へな)りて遠くとも心を近く思ほせ我妹(わぎも) 3765まそ鏡(かがみ)懸(か)けて偲(しぬ)へと奉(まつ)り出(だ)す形見…

遣新羅使人の歌(11)・・・巻第15-3648~3651

訓読 >>> 3648海原(うなはら)の沖辺(おきへ)に灯(とも)し漁(いざ)る火は明かして灯(とも)せ大和島(やまとしま)見む 3649鴨(かも)じもの浮寝(うきね)をすれば蜷(みな)の腸(わた)か黒(ぐろ)き髪に露そ置きにける 3650ひさかたの天(…

中臣宅守と狭野弟上娘子の贈答歌(10)・・・巻第15-3759~3762

訓読 >>> 3759たちかへり泣けども我(あ)れは験(しるし)なみ思ひわぶれて寝(ぬ)る夜(よ)しぞ多き 3760さ寝(ぬ)る夜(よ)は多くあれども物思(ものも)はず安く寝る夜は実(さね)なきものを 3761世の中の常(つね)の理(ことわり)かくさまに…

中臣宅守と狭野弟上娘子の贈答歌(9)・・・巻第15-3756~3758

訓読 >>> 3754過所(くわそ)なしに関(せき)飛び越ゆるほととぎす多我子尓毛 止(や)まず通(かよ)はむ 3755愛(うるは)しと我(あ)が思(も)ふ妹(いも)を山川(やまかは)を中にへなりて安けくもなし 3756向(むか)ひ居て一日(ひとひ)もおち…

中臣宅守と狭野弟上娘子の贈答歌(8)・・・巻第15-3750~3753

訓読 >>> 3750天地(あめつち)の底(そこ)ひの裏(うら)に我(あ)がごとく君に恋ふらむ人は実(さね)あらじ 3751白たへの我(あ)が下衣(したごろも)失はず持てれ我(わ)が背子(せこ)直(ただ)に逢ふまでに 3752春の日のうら悲(がな)しきに…

中臣宅守と狭野弟上娘子の贈答歌(7)・・・巻第15-3745~3749

訓読 >>> 3745命(いのち)あらば逢ふこともあらむ我(わ)がゆゑにはだな思ひそ命だに経(へ)ば3746人の植(う)うる田は植ゑまさず今更(いまさら)に国別(くにわか)れして我(あ)れはいかにせむ3747我(わ)が宿(やど)の松の葉(は)見つつ我(…

中臣宅守と狭野弟上娘子の贈答歌(6)・・・巻第15-3736~3744

訓読 >>> 3736遠くあれば一日(ひとひ)一夜(ひとよ)も思はずてあるらむものと思ほしめすな 3737人よりは妹(いも)ぞも悪(あ)しき恋もなくあらましものを思はしめつつ 3738思ひつつ寝(ぬ)ればかもとなぬばたまの一夜(ひとよ)もおちず夢(いめ)…

中臣宅守と狭野弟上娘子の贈答歌(5)・・・巻第15-3731~3735

訓読 >>> 3741命(いのち)をし全(また)くしあらばあり衣(きぬ)のありて後(のち)にも逢はざらめやも [一云 ありての後も] 3742逢はむ日をその日と知らず常闇(とこやみ)にいづれの日まで我(あ)れ恋ひ居(を)らむ 3743旅といへば言(こと)にぞ…

中臣宅守と狭野弟上娘子の贈答歌(4)・・・巻第15-3731~3735

訓読 >>> 3731思ふゑに逢ふものならばしましくも妹(いも)が目(め)離(か)れて我(あ)れ居(を)らめやも 3732あかねさす昼は物思(ものも)ひぬばたまの夜(よる)はすがらに音(ね)のみし泣かゆ 3733我妹子(わぎもこ)が形見(かたみ)の衣(こ…

中臣宅守と狭野弟上娘子の贈答歌(3)・・・巻第15-3727~3730

訓読 >>> 3731思ふゑに逢ふものならばしましくも妹(いも)が目(め)離(か)れて我(あ)れ居(を)らめやも 3732あかねさす昼は物思(ものも)ひぬばたまの夜(よる)はすがらに音(ね)のみし泣かゆ 3733我妹子(わぎもこ)が形見(かたみ)の衣(こ…

中臣宅守と狭野弟上娘子の贈答歌(2)・・・巻第15-3727~3730

訓読 >>> 3727塵泥(ちりひぢ)の数にもあらぬ我(わ)れゆゑに思ひわぶらむ妹(いも)がかなしさ 3728あをによし奈良の大路(おほち)は行き良(よ)けどこの山道(やまみち)は行き悪(あ)しかりけり 3729愛(うるは)しと我(あ)が思(も)ふ妹(い…

中臣宅守と狭野弟上娘子の贈答歌(1)・・・巻第15-3723~3726

訓読 >>> 3723あしひきの山路(やまぢ)越えむとする君を心に持ちて安けくもなし 3724君が行く道の長手(ながて)を繰(く)り畳(たた)ね焼き滅ぼさむ天(あめ)の火もがも 3725わが背子(せこ)しけだし罷(まか)らば白たへの袖(そで)を振らさね見…

遣新羅使人の歌(10)・・・巻第15-3586~3588

訓読 >>> 3586我(わ)が故(ゆゑ)に思ひな痩(や)せそ秋風の吹かむその月(つき)逢はむもの故(ゆゑ) 3587栲衾(たくぶすま)新羅(しらき)へいます君が目を今日(けふ)か明日(あす)かと斎(いは)ひて待たむ 3588はろはろに思ほゆるかも然(し…

遣新羅使人の歌(9)・・・巻第15-3622~3624

訓読 >>> 3622月読(つくよ)みの光りを清(きよ)み夕なぎに水手(かこ)の声呼び浦廻(うらみ)漕(こ)ぐかも 3623山の端(は)に月(つき)傾(かたぶ)けば漁(いざ)りする海人(あま)の燈火(ともしび)沖になづさふ 3624我(わ)れのみや夜船(…

遣新羅使人の歌(8)・・・巻第15-3639~3641

訓読 >>> 3639波の上に浮寝(うきね)せし宵(よひ)あど思(も)へか心悲しく夢(いめ)に見えつる 3640都辺(みやこへ)に行かむ船もが刈(か)り薦(こも)の乱れて思ふ言(こと)告(つ)げやらむ 3641暁(あかとき)の家恋しきに浦廻(うらみ)より…

遣新羅使人の歌(7)・・・巻第15-3591~3594

訓読 >>> 3591妹(いも)とありし時はあれども別れては衣手(ころもで)寒きものにそありける 3592海原(うなはら)に浮寝(うきね)せむ夜(よ)は沖つ風いたくな吹きそ妹もあらなくに 3593大伴(おほとも)の御津(みつ)に船乗(ふなの)り漕ぎ出(で…

遣新羅使人の歌(6)・・・巻第15-3582~3583

訓読 >>> 3582大船(おほふね)を荒海(あるみ)に出(い)だしいます君(きみ)障(つつ)むことなく早(はや)帰りませ 3583真幸(まさき)くて妹(いも)が斎(いは)はば沖つ波(なみ)千重(ちへ)に立つとも障(さは)りあらめやも 要旨 >>> 〈3…

遣新羅使人の歌(5)・・・巻第15-3589~3590

訓読 >>> 3589夕(ゆふ)さればひぐらし来(き)鳴く生駒山(いこまやま)越えてぞ我(あ)が来る妹(いも)が目を欲(ほ)り 3590妹(いも)に逢はずあらばすべなみ岩根(いはね)踏む生駒(いこま)の山を越えてぞ我(あ)が来る 要旨 >>> 〈3589〉…

遣新羅使人の歌(4)・・・巻第15-3635,3671

訓読 >>> 3635妹(いも)が家路(いへぢ)近くありせば見れど飽かぬ麻里布(まりふ)の浦を見せましものを 3671ぬばたまの夜(よ)渡る月にあらませば家なる妹(いも)に逢ひて来(こ)ましを 要旨 >>> 〈3635〉もしも妻がいる家への道が近くにあった…

遣新羅使人の歌(3)・・・巻第15-3584~3585

訓読 >>> 3584別れなばうら悲(がな)しけむ我(あ)が衣 下(した)にを着(き)ませ直(ただ)に逢ふまでに 3585我妹子(わぎもこ)が下(した)にも着よと贈りたる衣の紐(ひも)を我(あ)れ解(と)かめやも 要旨 >>> 〈3584〉お別れしたら、さぞ…

遣新羅使人の歌(2)・・・巻第15-3580~3581

訓読 >>> 3580君が行く海辺(うみへ)の宿(やど)に霧(きり)立たば我(あ)が立ち嘆く息(いき)と知りませ 3581秋さらば相見(あひみ)むものを何(なに)しかも霧に立つべく嘆きしまさむ 要旨 >>> 〈3580〉旅の途上の海辺の宿に霧が立ち込めたな…

遣新羅使人の歌(1)・・・巻第15-3578~3579

訓読 >>> 3578武庫(むこ)の浦の入江(いりえ)の渚鳥(すどり)羽(は)ぐくもる君を離れて恋に死ぬべし 3579大船に妹(いも)乗るものにあらませば羽(は)ぐくみ持ちて行かましものを 要旨 >>> 〈3578〉武庫川の河口付近の入江に巣くう水鳥が羽で…