大和の国のこころ、万葉のこころ

不肖私がこよなく愛する『万葉集』の鑑賞blogです。

巻第16

白玉は緒絶えしにきと・・・巻第16-3814~3815

訓読 >>> 3814白玉(しらたま)は緒絶(をだ)えしにきと聞きしゆゑにその緒(を)また貫(ぬ)き我(わ)が玉にせむ 3815白玉(しらたま)の緒絶(をだ)えはまこと然(しか)れどもその緒(を)また貫(ぬ)き人持ち去(い)にけり 要旨 >>> 〈3814…

志賀の海人の歌(2)・・・巻第16-3865~3869

訓読 >>> 3865荒雄(あらを)らは妻子(めこ)が業(なり)をば思はずろ年(とし)の八年(やとせ)を待てど来(き)まさず 3866沖つ鳥(とり)鴨(かも)とふ船の帰り来(こ)ば也良(やら)の崎守(さきもり)早く告げこそ 3867沖つ鳥(とり)鴨(かも…

志賀の海人の歌(1)・・・巻第16-3860~3864

訓読 >>> 3860大君(おほきみ)の遣はさなくにさかしらに行きし荒雄(あらを)ら沖に袖(そで)振る 3861荒雄(あらを)らを来(こ)むか来(こ)じかと飯(いひ)盛(も)りて門(かど)に出で立ち待てど来まさず 3862志賀(しか)の山いたくな伐(き)…

奈良山の児手柏の両面に・・・巻第16-3836

訓読 >>> 奈良山(ならやま)の児手柏(このてがしは)の両面(ふたおも)にかにもかくにも侫人(ねぢけひと)の伴(とも) 要旨 >>> 奈良山の児の手柏のように、表と裏の顔を、その場次第で使い分けては、巧みにへつらってばかりいる輩よ。 鑑賞 >>…

味飯を水に醸みなし・・・巻第16-3810

訓読 >>> 味飯(うまいひ)を水に醸(か)みなし我(わ)が待ちしかひはかつて無(な)し直(ただ)にしあらねば 要旨 >>> おいしいご飯を醸(かも)してお酒をつくって待っていましたが、全く甲斐がありませんでした。あなたが直接来るわけではないの…

波羅門の作れる小田を・・・巻第16-3856

訓読 >>> 波羅門(ばらもん)の作れる小田(をだ)を食(は)む烏(からす)瞼(まぶた)腫(は)れて幡桙(はたほこ)に居(を)り 要旨 >>> 波羅門さまが耕してらっしゃる田の稲を食い荒らしたカラスは、瞼ががふくれあがって旗竿にとまっている。 …

勝間田の池は我れ知る・・・巻第16-3835

訓読 >>> 勝間田(かつまた)の池は我(わ)れ知る蓮(はちす)なししか言ふ君が鬚(ひげ)なきごとし 要旨 >>> 勝間田の池は私はよく知っておりますが、蓮(はす)はありません。蓮があるとおっしゃるあなたに髭がないのと同じです。 鑑賞 >>> 左…

飯食めどうまくもあらず・・・巻第16-3857

訓読 >>> 飯(いひ)食(は)めど うまくもあらず 行き行けど 安くもあらず あかねさす 君が心し忘れかねつも 要旨 >>> ご飯を食べても美味しくないし、いくら歩き回っても心は落ち着きません。あなたの真心を忘れることができません。 鑑賞 >>> 左…

このころの我が恋力・・・巻第16-3858~3859

訓読 >>> 3858このころの我(あ)が恋力(こひぢから)記(しる)し集め功(くう)に申(まを)さば五位の冠(かがふり) 3859このころの我(あ)が恋力(こひぢから)給(たま)らずは京兆(みさとづかさ)に出(い)でて訴(うれ)へむ 要旨 >>> 〈3…

橘の寺の長屋に我が率寝し・・・巻第16-3822

訓読 >>> 橘(たちばな)の寺の長屋(ながや)に我(わ)が率寝(ゐね)し童女放髪(うなゐはなり)は髪(かみ)上げつらむか 要旨 >>> 橘寺の僧坊長屋に私が連れ込んで寝たおかっぱ頭の少女は、もう一人前の女になって、髪を結い上げたであろうか。 …

かくのみにありけるものを・・・巻第16-3804

訓読 >>> かくのみにありけるものを猪名川(ゐながは)の奥(おき)を深めて我(あ)が思(おも)へりける 要旨 >>> こんなにやつれ果てているとも知らず、猪名川の深い川底のように、心の底深く私はそなたのことを思い続けていた。 鑑賞 >>> 序詞…

氷魚ぞ下がれる・・・巻第16-3838~3839

訓読 >>> 3838我妹子(わぎもこ)が額(ひたひ)に生(お)ふる双六(すごろく)の特負(ことひ)の牛の鞍(くら)の上の瘡(かさ) 3839我(わ)が背子(せこ)が犢鼻(ふさき)にするつぶれ石の吉野の山に氷魚(ひを)ぞ下がれる 要旨 >>> 〈3838〉…

あんな醜いデブ男と!?・・・巻第16-3821

訓読 >>> 美麗(うまし)ものいづく飽(あ)かじを坂門(さかと)らが角(つの)のふくれにしぐひ合ひにけむ 要旨 >>> 美しい女だったらどんな相手だって結婚できるのに、坂門の娘は、よりによって角の太っちょ男なんかと情交を通じるなんて。 鑑賞 >…

海に落ちてしまった斧・・・巻第16-3878

訓読 >>> はしたての 熊来(くまき)のやらに 新羅斧(しらきをの) 落(おと)し入れ わし かけてかけて な泣かしそね 浮き出(い)づるやと見む わし 要旨 >>> 熊来の沼に新羅の斧を落っことしてしまったどうしよう、わっしょい。気にしすぎて泣きな…

安積山、影さへ見ゆる・・・巻第16-3807

訓読 >>> 安積山(あさかやま)影さへ見ゆる山の井の浅き心を我(わ)が思はなくに 要旨 >>> 安積山の姿をも映す澄んだ山の泉、その安積山の泉のような浅い思いで私は慕っているのではないのです。 鑑賞 >>> この歌には次のような言い伝えがありま…

坊さんの体が半分になる!・・・巻第16-3846~3847

訓読 >>> 3846法師(ほふし)らが鬚(ひげ)の剃り杭(くひ)馬つなぎいたくな引きそ法師(ほふし)半(なから)かむ 3847壇越(だにをち)やしかもな言ひそ里長(さとをさ)が課役(えだち)徴(はた)らば汝(な)も泣かむ 要旨 >>> 〈3846〉法師が…

桜児の悲しみ・・・巻第16-3786~3787

訓読 >>> 3786春さらばかざしにせむと我(あ)が思(おも)ひし桜の花は散り行けるかも 3787妹(いも)が名にかけたる桜花 散(ち)らば常(つね)にや恋ひむいや年のはに 要旨 >>> 〈3786〉春になったら、髪飾りにしようと思っていた、桜の花は散って…

海は死にますか・・・巻第16-3852

訓読 >>> 鯨魚(いさな)取り海や死にする山や死にする 死ぬれこそ海は潮干(しほひ)て山は枯れすれ 要旨 >>> 海は死ぬだろうか、いや死にはしない。山は死ぬだろうか、いや死にはしない。死ぬことがあればこそ、海は干上がり、山では草木が枯れる。 …

小さなおかみさん・・・巻第16-3880

訓読 >>> 鹿島嶺(かしまね)の 机(つくゑ)の島の しただみを い拾(ひり)ひ持ち来て 石もち つつき破(やぶ)り 速川(はやかは)に 洗ひ濯(すす)ぎ 辛塩(からしほ)に こごと揉(も)み 高坏(たかつき)に盛(も)り 机に立てて 母にあへつや 目…