大和の国のこころ、万葉のこころ

不肖私がこよなく愛する『万葉集』の鑑賞blogです。

巻第17

あゆの風 いたく吹くらし・・・巻第17-4017~4020

訓読 >>> 4017あゆの風 いたく吹くらし奈呉(なご)の海人(あま)の釣(つり)する小船(をぶね)漕(こ)ぎ隠(かく)る見ゆ 4018港風(みなとかぜ)寒く吹くらし奈呉(なご)の江に妻呼び交(かは)し鶴(あづ)多(さは)に鳴く [一云 鶴騒くなり] 40…

婦負の野のすすき押しなべ・・・巻第17-4016

訓読 >>> 婦負(めひ)の野のすすき押しなべ降る雪に宿(やど)借る今日(けふ)し悲しく思ほゆ 要旨 >>> 婦負の野のススキを一面に倒しながら雪が降っている。ここで宿を取らねばならないのかと思うと、今日はことに悲しく思われる。 鑑賞 >>> 高…

布勢の海の沖つ白波・・・巻第17-3991~3992

訓読 >>> 3991もののふの 八十伴(やそとも)の男(を)の 思ふどち 心(こころ)遣(や)らむと 馬(うま)並(な)めて うちくちぶりの 白波の 荒磯(ありそ)に寄する 渋谿(しぶたに)の 崎(さき)た廻(もとほ)り 松田江(まつだえ)の 長浜(なが…

立山に降り置ける雪の常夏に・・・巻第17-4003~4005

訓読 >>> 4003朝日さし そがひに見ゆる 神(かむ)ながら 御名(みな)に帯(お)ばせる 白雲(しらくも)の 千重(しへ)を押し分け 天(あま)そそり 高き立山(たちやま) 冬夏と 別(わ)くこともなく 白たへに 雪は降り置きて 古(いにしへ)ゆ あり…

大伴旅人の従者の歌(2)・・・巻第17-3895~3899

訓読 >>> 3895玉映(たまは)やす武庫(むこ)の渡りに天伝(あまづた)ふ日の暮れ行けば家をしぞ思ふ 3896家にてもたゆたふ命(いのち)波の上(へ)に浮きてし居(を)れば奥処(おくか)知らずも [一云 浮きてし居れば] 3897大海(おほうみ)の奥処(…

大伴旅人の従者の歌(1)・・・巻第17-3890~3894

訓読 >>> 3890我(わ)が背子(せこ)を我(あ)が松原(まつばら)よ見わたせば海人娘子(あまをとめ)ども玉藻(たまも)刈る見ゆ 3891荒津(あらつ)の海(うみ)潮(しほ)干(ひ)潮(しほ)満(み)ち時はあれどいづれの時か我(わ)が恋ひざらむ 3…

平群女郎が大伴家持に贈った歌(2)・・・巻第17-3937~3942

訓読 >>> 3937草枕(くさまくら)旅(たび)去(い)にし君が帰り来(こ)む月日を知らむすべの知らなく 3938かくのみや我(あ)が恋ひ居(を)らむぬばたまの夜(よる)の紐(ひも)だに解(と)き放(さ)けずして 3939里近く君が業(な)りなば恋ひめ…

平群女郎が大伴家持に贈った歌(1)・・・巻第17-3931~3936

訓読 >>> 3931君により我が名はすでに龍田山(たつたやま)絶えたる恋の繁(しげ)きころかも 3932須磨人(すまひと)の海辺(うみへ)常(つね)去らず焼く塩の辛(から)き恋をも我(あ)れはするかも 3933ありさりて後(のち)も逢(あ)はむと思へこ…

妹も我れも心は同じ・・・巻第17-3978~3980

訓読 >>> 3978妹(いも)も我(あ)れも 心は同(おや)じ 比(たぐ)へれど いやなつかしく 相(あひ)見れば 常初花(とこはつはな)に 心ぐし めぐしもなしに はしけやし 我()が奥妻(おくづま) 大君(おほきみ)の 命(みこと)恐(かしこ)み あ…

床に臥い伏し痛けくの・・・巻第17-3969~3972

訓読 >>> 3969大君(おほきみ)の 任(ま)けのまにまに しなざかる 越(こし)を治(をさ)めに 出でて来(こ)し ますら我(われ)すら 世の中の 常(つね)しなければ うち靡(なび)き 床(とこ)に臥(こ)い伏(ふ)し 痛けくの 日に異(け)に増せ…

春の花今は盛りににほふらむ・・・巻第17-3965~3968

訓読 >>> 3965春の花今は盛(さか)りににほふらむ折りてかざさむ手力(たぢから)もがも 3966鴬(うぐひす)の鳴き散らすらむ春の花いつしか君と手折(たを)りかざさむ 3967山峽(やまがひ)に咲ける桜をただ一目君に見せてば何をか思はむ 3968鴬(うぐ…

荒し男すらに嘆き伏せらむ・・・巻第17-3962~3964

訓読 >>> 3962大君(おほきみ)の 任(ま)けのまにまに ますらをの 心振り起こし あしひきの 山坂(やまさか)越えて 天離(あまざか)る 鄙(ひな)に下(くだ)り来(き) 息(いき)だにも いまだ休めず 年月(としつき)も 幾(いく)らもあらぬに …

庭に降る雪は千重敷く・・・巻第17-3960~3961

訓読 >>> 3960庭に降る雪は千重(ちへ)敷(し)くしかのみに思ひて君を我(あ)が待たなくに 3961白波の寄する礒廻(いそみ)を漕(こ)ぐ舟の楫(かぢ)取る間なく思ほえし君 要旨 >>> 〈3960〉庭に降る雪は幾重にも積もりました。けれども私は、そ…

馬並めていざ打ち行かな・・・巻第17-3953~3954

訓読 >>> 3953雁(かり)がねは使ひに来(こ)むと騒(さわ)くらむ秋風寒みその川の上(へ)に 3954馬(うま)並(な)めていざ打ち行かな渋谿(しぶたに)の清き礒廻(いそみ)に寄する波(なみ)見に 要旨 >>> 〈3953〉雁たちは都へ使いに行こうと…

橘のにほへる香かも・・・巻第17-3916~3921

訓読 >>> 3916橘(たちばな)のにほへる香(か)かも霍公鳥(ほととぎす)鳴く夜(よ)の雨にうつろひぬらむ 3917霍公鳥(ほととぎす)夜声(よごゑ)なつかし網(あみ)ささば花は過ぐとも離(か)れずか鳴かむ 3918橘(たちばな)のにほへる園(その)…

大伴旅人の従者の歌(2)・・・巻第17-3890~3894

訓読 >>> 3895玉映(たまは)やす武庫(むこ)の渡りに天伝(あまづた)ふ日の暮れ行けば家をしぞ思ふ 3896家にてもたゆたふ命(いのち)波の上(へ)に浮きてし居(を)れば奥処(おくか)知らずも [一云 浮きてし居れば] 3897大海(おほうみ)の奥処(…

大伴旅人の従者の歌(1)・・・巻第17-3890~3894

訓読 >>> 3890我(わ)が背子(せこ)を我(あ)が松原(まつばら)よ見わたせば海人娘子(あまをとめ)ども玉藻(たまも)刈る見ゆ 3891荒津(あらつ)の海(うみ)潮(しほ)干(ひ)潮(しほ)満(み)ち時はあれどいづれの時か我(わ)が恋ひざらむ 3…

亡くなった弟を哀傷する歌・・・巻第17-3957~3959

訓読 >>> 3957天離(あまざか)る 鄙(ひな)治(をさ)めにと 大君(おほきみ)の 任(ま)けのまにまに 出でて来(こ)し 我(わ)れを送ると あをによし 奈良山(ならやま)過ぎて 泉川(いづみがは) 清き河原(かはら)に 馬 留(とど)め 別れし時…

大伴坂上郎女が大伴家持に贈った歌・・・巻第17-3927~3930

訓読 >>> 3927草枕(くさまくら)旅行く君を幸(さき)くあれと斎瓮(いはひべ)据(す)ゑつ我(あ)が床(とこ)の辺(へ)に 3928今のごと恋しく君が思ほえばいかにかもせむするすべのなさ 3929旅に去(い)にし君しも継(つ)ぎて夢(いめ)に見ゆ我…

降る雪の白髪までに・・・巻第17-3922

訓読 >>> 降る雪の白髪(しろかみ)までに大君(おほきみ)に仕へまつれば貴(たふと)くもあるか 要旨 >>> 降り積もる雪のように、真っ白な白髪になるまで大君にお仕えさせていただいたことは、恐れ多く尊いことでございます。 鑑賞 >>> 聖武天皇…

あしひきの山谷越えて・・・巻第17-3915

訓読 >>> あしひきの山谷(やまたに)越えて野づかさに今は鳴くらむうぐひすの声 要旨 >>> 山や谷を越えてきて、今ごろ野の丘で鳴いているのだろう、ウグイスのあの鳴き声をきいていると。 鑑賞 >>> 題詞に「山部宿祢明人(やまべのすくねあかひと…

織女し舟乗りすらし・・・巻第17-3900

訓読 >>> 織女(たなばた)し舟乗りすらしまそ鏡(かがみ)清き月夜(つくよ)に雲立ちわたる 要旨 >>> 織り姫は舟に乗って漕ぎ出したよう。美しい鏡のように、清い月夜に雲が立ち渡っていく。 鑑賞 >>> 天平10年(738年)7月7日の夜に、大伴家持が…

立山に降り置ける雪を・・・巻第17-4000~4002

訓読 >>> 4000天離(あまざか)る 鄙(ひな)に名かかす 越(こし)の中(なか) 国内(くぬち)ことごと 山はしも しじにあれども 川はしも 多(さは)に行けども 統神(すめかみ)の 領(うしは)きいます 新川(にひかは)の その立山(たちやま)に …