大和の国のこころ、万葉のこころ

不肖私がこよなく愛する『万葉集』の鑑賞blogです。

巻第2

妻もあらば摘みて食げまし・・・巻第2-220~222

訓読 >>> 220玉藻(たまも)よし 讃岐(さぬき)の国は 国からか 見れども飽かぬ 神(かむ)からか ここだ貴(たふと)き 天地(あめつち) 日月(ひつき)と共に 足り行かむ 神の御面(みおも)と 継ぎ来たる 那珂(なか)の湊(みなと)ゆ 船 浮(う)…

倭姫大后の歌・・・巻第2-153

訓読 >>> 鯨魚(いさな)取り 近江(あふみ)の海を 沖 放(さ)けて 漕ぎ来る船 辺(へ)付きて 漕ぎ来る船 沖つ櫂(かい) いたくな撥(は)ねそ 辺つ櫂 いたくな撥ねそ 若草の 夫(つま)の 思ふ鳥立つ 要旨 >>> 鯨を取るような大きな近江の海、そ…

天智天皇崩御を悼む歌・・・巻第2-150~152ほか

訓読 >>> 150うつせみし 神に堪(あ)へねば 離(さか)り居て 朝嘆く君 放(さか)り居て わが恋ふる君 玉ならば 手に巻き持ちて 衣(きぬ)ならば 脱(ぬ)く時もなく わが恋ふる 君そ昨(きぞ)の夜 夢に見えつる 151かからむとかねて知りせば大御船(…

柿本人麻呂、妻が亡くなった後に作った歌(3)・・・巻第2-213~216

訓読 >>> 213うつそみと 思ひし時に 携(たづさ)はり 我(わ)が二人見し 出で立ちの 百枝槻(ももえつき)の木 こちごちに 枝させるごと 春の葉の 茂(しげ)きがごとく 思へりし 妹(いも)にはあれど たのめりし 妹にはあれど 世の中を 背(そむ)き…

柿本人麻呂、妻が亡くなった後に作った歌(2)・・・巻第2-210~212

訓読 >>> 210うつせみと 思ひし時に 取り持ちて わが二人見し 走出(はしりで)の 堤(つつみ)に立てる 槻(つき)の木の こちごちの枝の 春の葉の 茂きが如く 思へりし 妹にはあれど たのめりし 児らにはあれど 世の中を 背(そむ)きし得ねば かぎろひ…

柿本人麻呂、妻が亡くなった後に作った歌(1)・・・巻第2-207~209

訓読 >>> 207天(あま)飛ぶや 軽(かる)の路(みち)は 吾妹子(わぎもこ)が 里にしあれば ねもころに 見まく欲しけど 止まず行かば 人目を多み 数多(まね)く行かば 人知りぬべみ 狭根葛(さねかづら) 後も逢はむと 大船の 思ひ憑(たの)みて 玉か…

有馬皇子を偲ぶ歌・・・巻第2-143~146

訓読 >>> 143磐代(いはしろ)の岸の松が枝(え)結びけむ人は帰りてまた見けむかも 144磐代の野中(のなか)に立てる結び松心も解けずいにしへ思ほゆ 145天(あま)翔(がけ)りあり通ひつつ見らめども人こそ知らね松は知るらむ 146後(のち)見むと君が…

弓削皇子と額田王の歌・・・巻第2-111~113

訓読 >>> 111いにしへに恋(こ)ふる鳥かも弓絃葉(ゆづるは)の御井(みゐ)の上より鳴き渡り行く 112古(いにしへ)に恋ふらむ鳥は霍公鳥(ほととぎす)けだしや鳴きしわが念(おも)へる如(ごと) 113み吉野の玉(たま)松が枝(え)は愛(は)しきか…

石見の海角の浦廻を浦なしと・・・巻第2-131~134

訓読 >>> 131石見(いはみ)の海 角(つの)の浦廻(うらみ)を 浦なしと 人こそ見らめ 潟(かた)なしと 人こそ見らめ よしゑやし 浦はなくとも よしゑやし 潟はなくとも 鯨魚(いさな)取り 海辺(うみへ)を指して 和多津(にきたづ)の 荒磯(ありそ…

大津皇子と石川郎女の歌・・・巻第2-107~108

訓読 >>> 107あしひきの山のしづくに妹(いも)待つとわれ立ち濡(ぬ)れぬ山のしづくに 108吾(あ)を待つと君が濡(ぬ)れけむあしひきの山のしづくにならましものを 要旨 >>> 〈107〉あなたを待って立ち続け、山の木々から落ちてくるしずくに濡れて…

鏡王女と藤原鎌足の歌・・・巻第2-93~94

訓読 >>> 93玉櫛笥(たまくしげ)覆(おほ)ふを易み明けていなば君が名はあれどわが名し惜しも 94玉櫛笥(たまくしげ)御室(みもろ)の山のさなかづらさ寝ずはつひにありかつましじ 要旨 >>> 〈93〉夜がすっかり開けてお帰りになったら、あなたには…

但馬皇女の歌・・・巻第2-114~116

訓読 >>> 114秋の田の穂向(ほむき)の寄れる片寄りに君に寄りなな言痛(こちた)くありとも 115後(おく)れ居(ゐ)て恋ひつつあらずは追ひ及(し)かむ道の阿廻(くまみ)に標(しめ)結(ゆ)へわが背 116人言(ひとごと)を繁(しげ)み言痛(こちた…

天武天皇崩御後に皇后(持統天皇)が作った歌・・・巻第2-160~161

訓読 >>> 160燃ゆる火も取りて包みて袋(ふくろ)には入ると言はずやも智男雲 161北山(きたやま)にたなびく雲の青雲(あをくも)の星(ほし)離(はな)れ行き月を離れて 要旨 >>> 〈160〉燃える火さえも、包んで袋に入れることができるというではな…

磐代の浜松が枝を引き結び・・・巻第2-141~142

訓読 >>> 141磐代(いわしろ)の浜松が枝(え)を引き結びま幸(さき)くあらばまた還(かへ)り見む 142家にあれば笥(け)に盛る飯(いひ)を草枕(くさまくら)旅にしあれば椎(しひ)の葉に盛る 要旨 >>> 〈141〉自分はこのような身の上で磐代まで…

大伴宿祢と巨勢郎女の歌・・・巻第2-101~102

訓読 >>> 101玉葛(たまかづら)実ならぬ木にはちはやぶる神ぞつくといふならぬ木ごとに 102玉葛(たまかづら)花のみ咲きてならずあるは誰(た)が恋にあらめ我(あ)は恋ひ思(も)ふを 要旨 >>> 〈101〉玉葛のように実の成らない木には神が取り憑く…

磐姫皇后が天皇を慕ってつくった歌・・・巻第2-85~88

訓読 >>> 85君が行き日(け)長くなり山たづね迎へ行かむ待ちにか待たむ 86かくばかり恋ひつつあらずは高山の磐根(いはね)し枕(ま)きて死なましものを 87ありつつも君をば待たむうちなびく我(わ)が黒髪に霜(しも)の置くまでに 88秋の田の穂(ほ)…

伊勢の国にもあらましを・・・巻第2-163~164

訓読 >>> 163神風(かむかぜ)の伊勢の国にもあらましをなにしか来(き)けむ君もあらなくに 164見まく欲(ほ)り我(あ)がする君もあらなくに何しか来(き)けむ馬(うま)疲(つか)るるに 要旨 >>> 〈163〉こんなことなら伊勢の国にいたほうがよか…

倭姫(やまとひめ)皇后の歌・・・巻第2-147~149

訓読 >>> 147天の原ふりさけ見れば大王(おほきみ)の御寿(みいのち)は長く天(あま)足らしたり148青旗(あをはた)の木幡(こはた)の上を通ふとは目には見れども直(ただ)に逢はぬかも149人はよし思ひ止(や)むとも玉蔓(たまかづら)影(かげ)に…

楽浪の志賀津の子らが罷道の・・・巻第2-217~219

訓読 >>> 217秋山の したへる妹(いも) なよ竹の とをよる子らは いかさまに 思ひ居(を)れか たく繩(なは)の 長き命(いのち)を 露こそは 朝(あした)に置きて 夕(ゆうへ)には 消(き)ゆといへ 霧こそば 夕に立ちて 朝は 失(う)すといへ 梓弓…

天武天皇が崩御した時に皇后が作った歌・・・巻第2-159

訓読 >>> やすみしし 我(わ)が大君(おほきみ)の 夕(ゆふ)されば 見したまふらし 明け来れば 問ひたまふらし 神岳(かみをか)の 山の黄葉(もみち)を 今日(けふ)もかも 問ひたまはまし 明日(あす)もかも 見したまはまし その山を 振り放(さ)…

天智天皇と鏡王女の歌・・・巻第2-91~92

訓読 >>> 91妹(いも)が家も継(つ)ぎて見ましを大和なる大島の嶺(ね)に家もあらましを 92秋山の樹(こ)の下隠(したがく)り逝(ゆ)く水のわれこそ増さめ思ほすよりは 要旨 >>> 〈91〉逢えないのなら、せめてあなたの家をいつでも見ることがで…

志貴皇子が亡くなった時に笠金村が作った歌・・・巻第2-230~232

訓読 >>> 230梓弓(あづさゆみ) 手に取り持ちて ますらをの さつ矢 手挟(たばさ)み 立ち向ふ 高円山(たかまとやま)に 春野(はるの)焼く 野火(のひ)と見るまで 燃ゆる火を 何かと問へば 玉鉾(たまほこ)の 道来る人の 泣く涙 こさめに降れば 白…

丈夫や片恋ひせむと嘆けども・・・巻第2-117~118

訓読 >>> 117丈夫(ますらを)や片恋ひせむと嘆けども醜(しこ)のますらをなほ恋ひにけり 118嘆きつつ大夫(ますらを)の恋ふれこそ我(わ)が髪結(かみゆ)ひの漬(ひ)ぢて濡(ぬ)れけれ 要旨 >>> 〈117〉丈夫(ますらお)たるもの、片思いなどす…

風流秀才の士・・・巻第2-126~127

訓読 >>> 126遊士(みやびを)とわれは聞けるを屋戸(やど)貸さずわれを還(かへ)せりおその風流士(みやびを) 127遊士(みやびを)にわれはありけり屋戸(やど)貸さず還(かへ)ししわれそ風流士(みやびを)にはある 要旨 >>> 〈126〉みやびなお…

大伯皇女が弟の大津皇子を思う歌・・・巻第2-105~106

訓読 >>> 105わが背子(せこ)を大和へ遣(や)るとさ夜(よ)深(ふ)けて暁露(あかときつゆ)にわが立ち濡れし 106二人行けど行き過ぎ難(かた)き秋山をいかにか君がひとり越(こ)ゆらむ 要旨 >>> 〈105〉私の弟を大和へ帰さなければと、夜が更け…

東のたぎの御門に侍へど・・・巻第2-176~177ほか

訓読 >>> 176天地(あめつち)とともに終へむと思ひつつ仕へまつりし心 違(たが)ひぬ 177朝日照る佐田(さだ)の岡辺(をかへ)に群れ居(ゐ)つつ我が泣く涙やむ時もなし 184東(ひむがし)のたぎの御門(みかど)に侍(さもら)へど昨日(きのふ)も…

老いらくの恋?・・・巻第2-129

訓読 >>> 古(ふ)りにし嫗(おみな)にしてやかくばかり恋に沈まむ手童(たわらは)のごと 要旨 >>> 使い古したお婆さんなのに、まあどうしたことでしょう、これほど恋に没頭するなんて。まるで幼子みたい。 鑑賞 >>> 石川郎女(いしかわのいらつ…

わが里に大雪降れり・・・巻第2-103~104

訓読 >>> 103わが里に大雪(おほゆき)降れり大原の古(ふ)りにし里に降らまくは後(のち) 104わが岡のおかみに言ひて降らしめし雪のくだけし其処(そこ)に散りけむ 要旨 >>> 〈103〉私の里には大雪が降った。あなたの住む大原の古ぼけた里に降るの…

安見児得たり!!!・・・巻第2-95

訓読 >>> 吾(あれ)はもや安見児(やすみこ)得たり皆人(みなひと)の得がてにすとふ安見児得たり 要旨 >>> 私は今まさに、美しい安見児を娶(めと)った。世の人々が容易には得られない、美しい安見児を娶ったぞ! 鑑賞 >>> 藤原鎌足といえば、…

髪は乱れていても・・・巻第2-123~125

訓読 >>> 123たけばぬれたかねば長き妹(いも)が髪このころ見ぬに掻(か)き入れつらむか124人皆は今は長しとたけと言へど君が見し髪乱れたりとも 125橘(たちばな)の蔭(かげ)踏む道の八衢(やちまた)に物をぞ思ふ妹に逢はずして 要旨 >>> 〈123…