大和の国のこころ、万葉のこころ

不肖私がこよなく愛する『万葉集』の鑑賞blogです。

防人の歌

防人の歌(22)・・・巻第20-4370

訓読 >>> 霰(あられ)降り鹿島(かしま)の神を祈りつつ皇御軍(すめらみくさ)に我れは来(き)にしを 要旨 >>> 武神であられる鹿島の神に祈りを捧げながら、天皇の兵士として私はやってきたものを。 鑑賞 >>> 常陸国の防人の歌。「霰降り」は、…

防人の歌(21)・・・巻第20-4407

訓読 >>> ひな曇(くも)り碓氷(うすひ)の坂を越えしだに妹(いも)が恋しく忘らえぬかも 要旨 >>> 日が曇って薄日がさすという碓氷の坂、まだこの坂を越えたばかりなのに、無性に妻が恋しくて忘れられない。 鑑賞 >>> 上野国の防人の歌。「ひな…

防人の歌(20)・・・巻第20-4429~4432

訓読 >>> 4429馬屋(うまや)なる縄(なは)絶(た)つ駒(こま)の後(おく)るがへ妹(いも)が言ひしを置きて悲しも4430荒(あら)し男(を)のいをさ手挟(たはさ)み向ひ立ちかなるましづみ出(い)でてと我(あ)が来る4431笹(ささ)が葉(は)の…

防人の歌(19)・・・巻第20-4426~4428

訓読 >>> 4426天地(あめつし)の神に幣(ぬさ)置き斎(いは)ひつついませ我(わ)が背(せ)な我(あ)れをし思はば 4427家(いは)の妹(いも)ろ我を偲ふらし真結(まゆす)ひに結(ゆす)ひし紐(ひも)の解くらく思へば 4428我が背(せ)なを筑紫…

防人の歌(18)・・・巻第20-4401~4403

訓読 >>> 4401韓衣(からころむ)裾(すそ)に取り付き泣く子らを置きてぞ来(き)ぬや母(おも)なしにして4402ちはやぶる神の御坂(みさか)に幣(ぬさ)奉(まつ)り斎(いは)ふ命(いのち)は母父(おもちち)がため4403大君(おほきみ)の命(みこ…

防人の歌(17)・・・巻第20-4363~4367

訓読 >>> 4363難波津(なにはつ)に御船(みふね)下(お)ろすゑ八十楫(やそか)貫(ぬ)き今は漕(こ)ぎぬと妹(いも)に告げこそ4364防人に立たむ騒(さわ)きに家の妹(いむ)が業(な)るべきことを言はず来(き)ぬかも4365押し照るや難波(なに…

大伴家持が、別れを悲しむ防人の気持ちを思いやって作った歌・・・巻第20-4331~4333

訓読 >>> 4331大君(おほきみ)の 遠(とほ)の朝廷(みかど)と しらぬひ 筑紫(つくし)の国は 賊(あた)守る おさへの城(き)ぞと 聞こし食(を)す 四方(よも)の国には 人(ひと)さはに 満ちてはあれど 鶏(とり)が鳴く 東男(あづまをのこ)は…

防人の歌(16)・・・巻第20-4357~4359

訓読 >>> 4357葦垣(あしがき)の隈処(くまと)に立ちて我妹子(わぎもこ)が袖(そで)もしほほに泣きしぞ思(も)はゆ 4358大君(おほきみ)の命(みこと)畏(かしこ)み出(い)で来れば我(わ)の取り付きて言ひし子なはも 4359筑紫辺(つくしへ)…

防人の歌(15)・・・巻第20-4328~4330

訓読 >>> 4328大君(おほきみ)の命(みこと)畏(かしこ)み磯(いそ)に触(ふ)り海原(うのはら)渡る父母(ちちはは)を置きて 4329八十国(やそくに)は難波(なには)に集(つど)ひ船(ふな)かざり我(あ)がせむ日ろを見も人もがも 4330難波津…

防人の歌(14)・・・巻第20-4425

訓読 >>> 防人に行くは誰(た)が背(せ)と問ふ人を見るが羨(とも)しさ物思(ものも)ひもせず 要旨 >>> 防人に行くのはどなたのご主人と、問いかけている人を見ると羨ましい。何の物思いもしないで。 鑑賞 >>> 題詞に「昔年の防人の歌」とある8…

防人の歌(13)・・・巻第20-4417

訓読 >>> 赤駒(あかごま)を山野(やまの)に放(はか)し捕(と)りかにて多摩(たま)の横山(よこやま)徒歩(かし)ゆか遣(や)らむ 要旨 >>> 赤駒を山野に放ってしまって捕えかね、夫に多摩の山並みを歩いて行かせることになるのかしら。 鑑賞 …

防人の歌(12)・・・巻第20-4384

訓読 >>> 暁(あかとき)のかはたれ時(どき)に島蔭(しまかぎ)を漕(こ)ぎ去(に)し船のたづき知らずも 要旨 >>> 明け方の薄暗い時に、島陰を漕いでいった船が今どうしているのか、知りようがない。 鑑賞 >>> 防人たちが、何艘かに別れて船出…

防人の歌(11)・・・巻第20-4406

訓読 >>> 我(わ)が家(いは)ろに行かも人もが草枕(くさまくら)旅は苦しと告(つ)げ遣(や)らまくも 要旨 >>> 我が家のある故郷に行く人がいたらよいのに。旅は苦しくてならないと家の人に告げてもらうのに。 鑑賞 >>> 徴発された防人は、難…

防人の歌(10)・・・巻第20-4325~4327

訓読 >>> 4325父母(ちちはは)も花にもがもや草枕(くさまくら)旅は行くとも捧(ささ)ごて行かむ 4326父母(ちちはは)が殿(との)の後方(しりへ)のももよ草 百代(ももよ)いでませ我(わ)が来(きた)るまで 4327我(わ)が妻も絵に描(か)き取…

防人の歌(9)・・・巻第20-4372

訓読 >>> 足柄(あしがら)の 御坂(みさか)賜(たま)はり 顧(かへり)みず 我(あ)れは越(く)え行く 荒(あら)し男(を)も 立(た)しやはばかる 不破(ふは)の関(せき) 越(く)えて我(わ)は行(ゆ)く 馬(むま)の爪(つめ) 筑紫(つく…

防人の歌(8)・・・巻第20-4346

訓読 >>> 父母(ちちはは)が頭(かしら)かき撫(な)で幸(さ)くあれて言ひし言葉(けとば)ぜ忘れかねつも 要旨 >>> 父と母とがかわるがわるにやさしく頭をかき撫でて、元気に過ごしてほしいと言った言葉が忘れられない。 鑑賞 >>> 駿河国の防…

防人の歌(7)・・・巻第20-4342

訓読 >>> 真木柱(まけばしら)讃(ほ)めて造れる殿(との)のごといませ母刀自(ははとじ)面変(おめが)はりせず 要旨 >>> 立派な木材を寿いで建てた御殿のように、母上、いつまでも元気でいて下さい、面やつれなどせずに。 鑑賞 >>> 駿河国の…

防人の歌(6)・・・巻第20-4337

訓読 >>> 水鳥(みづどり)の立ちの急ぎに父母(ちちはは)に物(もの)言(は)ず来(け)にて今ぞ悔(くや)しき 要旨 >>> 水鳥が飛び立つように、出発前のあわただしさに父母に物もいわずに来てしまった。今となってはそれが口惜しい。 鑑賞 >>>…

防人の歌(5)・・・巻第20-4344

訓読 >>> 忘らむて野行き山行き我(わ)れ来れど我(わ)が父母(ちちはは)は忘れせぬかも 要旨 >>> 忘れよう、忘れようと思って、野を行き山を行きやってきたが、わが父母のことは忘れることなどできない。 鑑賞 >>> この歌の作者は、駿河国出身…

防人の歌(4)・・・巻第20-4420

訓読 >>> 草枕(くさまくら)旅の丸寝(まるね)の紐(ひも)絶えば我(あ)が手と付けろこれの針(はる)持(も)し 要旨 >>> 旅のごろ寝で、もし着物の紐が切れたなら、私の手が縫うと思ってこの針で付けて下さい。 鑑賞 >>> 武蔵国橘樹郡の防人…

防人の歌(3)・・・巻第20-4373

訓読 >>> 今日(けふ)よりは返り見なくて大君(おほきみ)の醜(しこ)の御楯(みたて)と出で立つ我(わ)れは 要旨 >>> 今日からは、もう決して後を振り返ることなく、大君の醜の御盾として出立するのだ、私は。 鑑賞 >>> 大伴家持が収集したと…

防人の歌(2)・・・巻第20-4321~4323

訓読 >>> 4321畏(かしこ)きや命(みこと)被)かがふ)り明日(あす)ゆりや草(かえ)がむた寝む妹(いむ)なしにして 4322我が妻はいたく恋ひらし飲む水に影(かご)さへ見えてよに忘られず 4323時々の花は咲けども何すれぞ母とふ花の咲き出来(でこ…

防人の歌(1)・・・巻第14-3567~3568

訓読 >>> 3567置きて行かば妹(いも)はま愛(かな)し持ちて行く梓(あずさ)の弓の弓束(ゆづか)にもが 3568後(おく)れ居(い)て恋(こ)ひば苦しも朝狩(あさがり)の君が弓にもならましものを 要旨 >>> 〈3567〉後に残して行けば、この先お前…