大和の国のこころ、万葉のこころ

不肖私がこよなく愛する『万葉集』の鑑賞blogです。

額田王の歌

天智天皇崩御を悼む歌・・・巻第2-150~152ほか

訓読 >>> 150うつせみし 神に堪(あ)へねば 離(さか)り居て 朝嘆く君 放(さか)り居て わが恋ふる君 玉ならば 手に巻き持ちて 衣(きぬ)ならば 脱(ぬ)く時もなく わが恋ふる 君そ昨(きぞ)の夜 夢に見えつる 151かからむとかねて知りせば大御船(…

弓削皇子と額田王の歌・・・巻第2-111~113

訓読 >>> 111いにしへに恋(こ)ふる鳥かも弓絃葉(ゆづるは)の御井(みゐ)の上より鳴き渡り行く 112古(いにしへ)に恋ふらむ鳥は霍公鳥(ほととぎす)けだしや鳴きしわが念(おも)へる如(ごと) 113み吉野の玉(たま)松が枝(え)は愛(は)しきか…

我が背子がい立たせりけむ・・・巻第1-9

訓読 >>> 莫囂円隣之大相七兄爪謁気 我が背子がい立たせりけむ厳橿(いつかし)が本(もと) 要旨 >>> ・・・・・・愛するあなたが立っていた、山麓の神聖な樫の木のもと。 鑑賞 >>> 額田王(ぬかだのおおきみ)の「紀の温泉に幸せる時に、額田王の作る」…

額田王が近江の国に下った時に作った歌・・・巻第1-17~19

訓読 >>> 17味酒(うまさけ) 三輪(みわ)の山 あをによし 奈良の山の 山の際(ま)に い隠るまで 道の隈(くま) い積もるまでに つばらにも 見つつ行かむを しばしばも 見放(みさ)けむ山を 情(こころ)なく 雲の 隠さふねしや 18三輪山をしかも隠す…

額田王と鏡王女の歌・・・巻第4-488~489

訓読 >>> 488君待つと我(あ)が恋ひをればわが屋戸(やど)のすだれ動かし秋の風吹く489風をだに恋ふるは羨(とも)し風をだに来(こ)むとし待たば何か嘆かむ 要旨 >>> 〈488〉あの方がいらっしゃるのを待って恋い慕っていると、私の家の戸口のすだ…

額田王が春秋の優劣を論じた歌・・・巻第1-16

訓読 >>> 冬こもり 春さり来れば 鳴かざりし 鳥も来(き)鳴きぬ 咲かざりし 花も咲けれど 山を茂(し)み 入りても取らず 草深み 取りても見ず 秋山の 木の葉を見ては 黄葉(もみち)をば 取りてぞ偲(しの)ふ 青きをば 置きてぞ嘆く そこし恨めし 秋山…

宇治の宮処の仮廬し思ほゆ・・・巻第1-7

訓読 >>> 秋の野(ぬ)のみ草刈り葺(ふ)き宿れりし宇治(うぢ)の宮処(みやこ)の仮廬(かりほ)し思ほゆ 要旨 >>> かつて天皇の行幸に御伴をして、山城の宇治で、秋の草を刈って葺いた行宮(あんぐう)に宿ったときのことが思い出されます。 鑑賞 …

あかねさす紫野行き標野行き・・・巻第1-20~21

訓読 >>> 20あかねさす紫野(むらさきの)行き標野(しめの)行き野守(のもり)は見ずや君が袖(そで)振る 21紫草(むらさき)のにほへる妹(いも)を憎くあらば人妻(ひとづま)ゆゑにあれ恋ひめやも 要旨 >>> 〈20〉茜色に輝く紫草が栽培されてい…

熟田津に船乗りせむと・・・巻第1-8

訓読 >>> 熟田津(にきたつ)に船乗りせむと月待てば潮(しほ)もかなひぬ今は漕ぎ出(い)でな 要旨 >>> 熟田津で、これから船出しようと月の出を待っていると、潮の流れさえ私たちの待ち望んでいた通りとなってきた。さあ、今こそ漕ぎ出しましょうぞ…