大和の国のこころ、万葉のこころ

不肖私がこよなく愛する『万葉集』の鑑賞blogです。

『万葉集』巻第11(索引)

〈前半〉2351番~2596番

  1. 新室の壁草刈りにいましたまはね草のごと寄り合ふ娘子は君がまにまに
  2. 新室を踏み鎮む子が手玉鳴らすも玉の如照りたる君を内へと白せ
  3. 長谷の五百槻が下に吾が隠せる妻茜さし照れる月夜に人見てむかも
  4. ますらをの思ひ乱れて隠せるその妻天地に通り照るともあらはれめやも
  5. 愛しと吾が念ふ妹は早も死ねやも生けりとも吾に依るべしと人の言はなくに
  6. 高麗錦紐の片方ぞ床に落ちにける明日の夜し来なむと言はば取り置きて待たむ
  7. 朝戸出の君が足結を濡らす露原早く起き出でつつ我れも裳裾濡らさな
  8. 何せむに命をもとな長く欲りせむ生けりとも我が思ふ妹にやすく逢はなくに
  9. 息の緒に我れは思へど人目多みこそ吹く風にあらばしばしば逢ふべきものを
  10. 人の親処女児据ゑて守山辺から朝な朝な通ひし君が来ねば悲しも
  11. 天にある一つ棚橋いかにか行かむ若草の妻がりと言はば足飾りせむ
  12. 山背の久世の若子が欲しと言ふ我れあふさわに我れを欲しと言ふ山背の久世
  13. 岡の崎廻みたる道を人な通ひそありつつも君が来まさむ避道にせむ
  14. 玉垂の小簾の隙に入り通ひ来ねたらちねの母が問はさば風と申さむ
  15. うちひさす宮道に逢ひし人妻ゆゑに玉の緒の思ひ乱れて寝る夜しぞ多き
  16. まそ鏡見しかと思ふ妹も逢はぬかも玉の緒の絶えたる恋の繁きこのころ
  17. 海原の道に乗りてや我が恋ひ居らむ大船のゆたにあるらむ人の子ゆゑに
  18. たらちねの母が手離れ斯くばかり術なき事はいまだ為なくに
  19. 人の寝る味寐は寝ずて愛しきやし君が目すらを欲りし嘆かふ
  20. 恋ひ死なば恋ひも死ねとや玉桙の道行く人の言も告らなく
  21. 心には千重に思へど人に言はぬ我が恋妻を見むよしもがも
  22. かくばかり恋ひむものぞと知らませば遠くも見べくあらましものを
  23. 何時はしも恋ひぬ時とはあらねども夕かたまけて恋ひはすべなし
  24. かくのみし恋ひやわたらむたまきはる命も知らず年は経につつ
  25. 吾が後に生まれし人は我がごとく恋する道に逢ひこすなゆめ
  26. ますらをの現し心も我れはなし夜昼といはず恋ひしわたれば
  27. 何せむに命継ぎけむ我妹子に恋ひぬ前にも死なましものを
  28. よしゑやし来まさぬ君を何せむにいとはず我れは恋ひつつ居らむ
  29. 見わたせば近き渡りをた廻り今か来ますと恋ひつつぞ居る
  30. はしきやし誰が障ふれかも玉桙の道見忘れて君が来まさぬ
  31. 君が目を見まく欲りしてこの二夜千年のごとも我は恋ふるかも
  32. うち日さす宮道を人は満ち行けど我が思ふ君はただひとりのみ
  33. 世の中は常かくのみと思へどもはたた忘れずなほ恋ひにけり
  34. 我が背子は幸くいますと帰り来と我れに告げ来む人も来ぬかも
  35. あらたまの五年経れど我が恋の跡なき恋のやまなくあやし
  36. 巌すら行き通るべき健男も恋といふことは後悔いにけり
  37. 日並べば人知りぬべし今日の日は千年のごともありこせぬか
  38. 立ちて居てたづきも知らず思へども妹に告げねば間使も来ず
  39. ぬばたまのこの夜な明けそ赤らひく朝行く君を待たば苦しも
  40. 恋するに死するものにあらませば我が身は千たび死に返らまし
  41. 玉かぎる昨日の夕見しものを今日の朝に恋ふべき
  42. なかなかに見ざりしよりも相見ては恋しき心増して思ほゆ
  43. 玉桙の道行かずあらばねもころのかかる恋には逢はざらましを
  44. 朝影にわが身はなりぬ玉かぎるほのかに見えて去にし子ゆゑに
  45. 行き行きて逢はぬ妹ゆゑひさかたの天露霜に濡れにけるかも
  46. たまさかに我が見し人をいかにあらむ縁を以ちてかまた一目見む
  47. しましくも見ねば恋ほしき我妹子を日に日に来なば言の繁けく
  48. たまきはる代までと定め頼みたる君によりてし言の繁けく
  49. 朱らひく膚に触れずて寝たれども心を異しく我が念はなくに
  50. いで何かここだ甚だ利心の失するまで思ふ恋ゆゑにこそ
  51. 恋ひ死なば恋ひも死ねとや我妹子が吾家の門を過ぎて行くらむ
  52. 妹があたり遠くも見れば怪しくも我れはそ恋ふる逢ふよしをなみ
  53. 玉久世の清き川原に身禊(みそぎ)斎ふ命は妹がためこそ
  54. 思ひ寄り見ては寄りにしものにあれば一日の間も忘れて思へや
  55. 垣ほなす人は言へども高麗錦紐解き開けし君ならなくに
  56. 高麗錦紐解き開けて夕だに知らざる命恋ひつつあらむ
  57. 百積の船隠り入る八占さし母は問ふともその名は告らじ
  58. 眉根掻き鼻ひ紐解け待つらむかいつかも見むと思へる我れを
  59. 君に恋ひうらぶれ居れば悔しくも我が下紐の結ふ手いたづらに
  60. あらたまの年は果つれどしきたへの袖交へし児を忘れて思へや
  61. 白栲の袖をはつはつ見しからにかかる恋をも我れはするかも
  62. 我妹子に恋ひてすべなみ夢見むと我は思へど寝ねらえなくに
  63. 故もなく我が下紐を解けしめて人にな知らせ直に逢ふまでに
  64. 恋ふること慰めかねて出で行けば山も川をも知らず来にけり
  65. 娘子らを袖布留山の瑞垣の久しき時ゆ思ひけり吾等は
  66. ちはやぶる神の持たせる命をば誰がためにかも長く欲りせむ
  67. 石上布留の神杉神さびて恋をもわれは更にするかも
  68. いかならむ名負ふ神にし手向けせば我が思ふ妹を夢にだに見む
  69. (未)
  70. (未)
  71. (未)
  72. 石根踏むへなれる山はあらねども逢はぬ日まねみ恋ひわたるかも
  73. 道の後深津島山しましくも君が目見ねば苦しかりけり
  74. 紐鏡能登香の山も誰がゆゑか君来ませるに紐解かず寝む
  75. 山科の木幡の山を馬はあれど徒歩ゆ吾が来し汝を念ひかね
  76. 遠山に霞たなびきいや遠に妹が目見ねば我れ恋ひにけり
  77. 宇治川の瀬々のしき波しくしくに妹は心に乗りにけるかも
  78. ちはや人宇治の渡りの瀬を早み逢はずこそあれ後も我が妻
  79. はしきやし逢はぬ子ゆゑにいたづらに宇治川の瀬に裳裾濡らしつ
  80. 宇治川の水泡さかまき行く水の事かへらずぞ思ひ染めてし
  81. 鴨川の後瀬静けく後も逢はむ妹には我れは今ならずとも
  82. (未)
  83. (未)
  84. (未)
  85. (未)
  86. (未)
  87. (未)
  88. (未)
  89. (未)
  90. (未)
  91. (未)
  92. (未)
  93. (未)
  94. (未)
  95. 近江の海沈く白玉知らずして恋ひせしよりは今こそまされ
  96. 白玉を巻きてぞ持てる今よりは我が玉にせむ知れる時だに
  97. 白玉を手に巻きしより忘れじと思ひけらくは何か終らむ
  98. ぬば玉の間開けつつ貫ける緒もくくり寄すれば後も逢ふものを
  99. 香具山に雲居たなびきおほほしく相見し子らを後恋ひむかも
  100. 雲間よりさ渡る月のおほほしく相見し子らを見むよしもがも
  101. 天雲の寄り合ひ遠み逢はずとも他し手枕我れまかめやも
  102. 雲だにも著くし立たば慰めて見つつも居らむ直に逢ふまでに
  103. 春柳葛城山に立つ雲の立ちても居ても妹をしぞ思ふ
  104. 春日山雲居隠りて遠けども家は思はず君をしぞ思ふ
  105. 我がゆゑに言はれし妹は高山の嶺の朝霧過ぎにけむかも
  106. ぬばたまの黒髪山の山菅に小雨降りしきしくしく思ほゆ
  107. 大野らに小雨降りしく木の下に時と寄り来ね我が思ふ人
  108. 朝霜の消なば消ぬべく思ひつついかにこの夜を明かしてむかも
  109. 我が背子が浜行く風のいや急に急事増して逢はずかもあらむ
  110. 遠き妹が振り放け見つつ偲ふらむこの月の面に雲なたなびき
  111. 山の端を追ふ三日月のはつはつに妹をぞ見つる恋ほしきまでに
  112. 我妹子し我れを思はばまそ鏡照り出づる月の影に見え来ね
  113. ひさかたの天光る月の隠りなば何になそへて妹を偲はむ
  114. 若月の清にも見えず雲隠り見まくぞ欲しきうたてこのころ
  115. 我が背子に吾が恋ひ居れば吾が屋戸の草さへ思ひうらぶれにけり
  116. 浅茅原小野に標結ふ空言を如何なりと言ひて君をし待たむ
  117. 路の辺の草深百合の後もと言ふ妹が命を我れ知らめやも
  118. (未)
  119. (未)
  120. (未)
  121. (未)
  122. (未)
  123. (未)
  124. (未)
  125. (未)
  126. (未)
  127. (未)
  128. (未)
  129. (未)
  130. (未)
  131. (未)
  132. (未)
  133. 敷栲の衣手離れて玉藻なす靡きか寝らむ我を待ちかてに
  134. 君来ずは形見にせむと我がふたり植ゑし松の木君を待ち出でむ
  135. 袖振らば見ゆべき限り我れはあれどその松が枝に隠らひにけり
  136. 茅渟の海の浜辺の小松根深めて我が恋ひ渡る人の子ゆゑに
  137. 奈良山の小松が末のうれむぞは我が思ふ妹に逢はず止みなむ
  138. 礒の上に立てるむろの木ねもころに何しか深め思ひそめけむ
  139. 橘の本に我を立て下枝取り成らむや君と問ひし子らはも
  140. 天雲に翼打ちつけて飛ぶ鶴のたづたづしかも君しまさねば
  141. 妹に恋ひ寐ねぬ朝明に鴛鴦のこゆかく渡る妹が使か
  142. (未)
  143. (未)
  144. (未)
  145. たらちねの母が養ふ蚕の繭隠り隠れる妹を見むよしもがも
  146. 肥人の額髪結へる染木綿の染みにし心我れ忘れめや
  147. 隼人の名に負ふ夜声のいちしろく我が名は告りつ妻と頼ませ
  148. 剣大刀諸刃の利きに足踏みて死なば死なむよ君によりては
  149. 我妹子に恋ひしわたれば剣大刀名の惜しけくも思ひかねつも
  150. 朝月の日向黄楊櫛古りぬれど何しか君が見れど飽かざらむ
  151. 里遠み恋ひうらぶれぬまそ鏡床の辺去らず夢に見えこそ
  152. まそ鏡手に取り持ちて朝な朝な見れども君は飽くこともなし
  153. 夕されば床の辺去らぬ黄楊枕何しか汝れが主待ち難き
  154. (未)
  155. (未)
  156. 言霊の八十の街に夕占問ふ占まさに告る妹は相寄らむ
  157. 玉桙の道行き占に占なへば妹は逢はむと我れに告りつも
  158. 皇祖の神の御門を畏みとさもらふ時に逢へる君かも
  159. まそ鏡見とも言はめや玉かぎる岩垣淵の隠りてある妻
  160. 赤駒が足掻速けば雲居にも隠り行かむぞ袖まけ我妹
  161. 隠口の豊泊瀬道は常滑のかしこき道ぞ汝が心ゆめ
  162. 味酒の三諸の山に立つ月の見が欲し君が馬の音ぞする
  163. 鳴る神の少し響みてさし曇り雨も降らぬか君を留めむ
  164. 鳴る神の少し響みて降らずとも我は留まらむ妹し留めば
  165. 敷栲の枕響みて夜も寝ず思ふ人には後も逢ふものを
  166. 敷栲の枕は人に言問へやその枕には苔生しにたり
  167. (未)
  168. (未)
  169. (未)
  170. (未)
  171. (未)
  172. (未)
  173. (未)
  174. (未)
  175. (未)
  176. (未)
  177. 誰れそこのわが屋戸来喚ぶたらちねの母にころはえ物思ふわれを
  178. さ寝ぬ夜は千夜もありとも我が背子が思ひ悔ゆべき心は持たじ
  179. 家人は道もしみみに通へども吾が待つ妹が使来ぬかも
  180. あらたまの寸戸が竹垣編目ゆも妹し見えなば吾れ恋ひめやも
  181. 吾が背子がその名告らじとたまきはる命は捨てつ忘れたまふな
  182. (未)
  183. (未)
  184. (未)
  185. (未)
  186. (未)
  187. たらちねの母に知らえず吾が持てる心はよしゑ君がまにまに
  188. ひとり寝と薦朽ちめやも綾席緒になるまでに君をし待たむ
  189. 相見ては千年や去ぬる否をかも我れや然思ふ君待ちかてに
  190. 振分の髪を短み春草を髪に束くらむ妹をしぞおもふ
  191. た廻り行箕の里に妹を置きて心空なり地は踏めども
  192. 若草の新手枕を巻きそめて夜をや隔てむ憎くあらなくに
  193. 吾が恋ひし事も語らひ慰めむ君が使ひを待ちやかねてむ
  194. うつつには逢ふよしもなし夢にだに間なく見え君恋ひに死ぬべし
  195. 誰そ彼と問はば答へむ術をなみ君が使を帰しつるかも
  196. 念はぬに到らば妹が歓しみと笑まむ眉引思ほゆるかも
  197. 斯くばかり恋ひむものぞと念はねば妹が手本をまかぬ夜もありき
  198. かくだにも吾は恋ひなむ玉梓の君が使を待ちやかねてむ
  199. 妹に恋ひ吾が泣く涙敷栲の木枕通り袖さへ濡れぬ
  200. 立ちて思ひ居てもぞ思ふ紅の赤裳裾引き去にし姿を
  201. 思ひにし余りにしかばすべをなみ出でてそ行きしその門を見に
  202. 情には千重しくしくに思へども使を遣らむすべの知らなく
  203. 夢のみに見てすらここだ恋ふる吾はうつつに見てばまして如何にあらむ
  204. 相見ては面隠さるるものからに継ぎて見まくの欲しき君かも
  205. (未)
  206. (未)
  207. (未)
  208. (未)
  209. (未)
  210. (未)
  211. (未)
  212. (未)
  213. (未)
  214. (未)
  215. 花ぐはし葦垣越しにただ一目相見し子ゆゑ千たび嘆きつ
  216. 色に出でて恋ひば人見て知りぬべし情のうちの隠り妻はも
  217. 相見ては恋ひ慰むと人は言へど見て後にぞも恋ひまさりける
  218. おほろかに吾し思はばかくばかり難き御門を罷り出めやも
  219. 思ふらむその人なれやぬばたまの夜ごとに君が夢にし見ゆる
  220. かくのみし恋ひば死ぬべみたらちねの母にも告げず止まず通はせ
  221. ますらをは友の騒きに慰もる心もあらむ我そ苦しき
  222. 偽も似つきてぞする何時よりか見ぬ人恋ふに人の死せし
  223. 情さへ奉れる君に何をかも言はずて言ひしと我がぬすまはむ
  224. 面忘れだにも得為やと手握りて打てども懲りず恋といふ奴
  225. めづらしき君を見むとぞ左手の弓取る方の眉根掻きつれ
  226. 人間守り葦垣越しに我妹子を相見しからに言ぞさだ多き
  227. 今だにも目な乏しめそ相見ずて恋ひむ年月久しけまくに
  228. 朝寝髪われは梳らじ愛しき君が手枕触れてしものを
  229. 早行きて何時しか君を相見むと念ひし情今ぞ和ぎぬる
  230. 面形の忘るとあらばあづきなく男じものや恋ひつつ居らむ
  231. 言に言へば耳にたやすし少なくも心のうちに我が思はなくに
  232. あぢき無く何の狂言いま更に小童言する老人にして
  233. 相見ては幾久さにもあらなくに年月のごと思ほゆるかも
  234. ますらをと思へる吾をかくばかり恋せしむるは悪しくはありけり
  235. かくしつつ吾が待つ験あらぬかも世の人皆の常にあらなくに
  236. 人言を繁みと君に玉梓の使ひも遣らず忘ると思ふな
  237. 大原の古りにし里に妹を置きて吾寐ねかねつ夢に見えこそ
  238. 夕されば君来まさむと待ちし夜のなごりぞ今も寐寝かてにする
  239. 相思はず君はあるらしぬばたまの夢にも見えずうけひて寝れど
  240. (未)
  241. (未)
  242. (未)
  243. (未)
  244. (未)
  245. (未)
  246. (未)

 

主な歌人の歌(索引)