- 巻3-375 吉野なる夏実の川の川淀に鴨ぞ鳴くなる山陰にして
- 巻3-376 蜻蛉羽の袖振る妹を玉くしげ奥に思ふを見たまへ我が君
- 巻3-377 青山の嶺の白雲朝に日に常に見れどもめづらし我が君
- 巻4-631 表辺なきものかも人は然ばかり遠き家路を還す思へば
- 巻4-632 目には見て手には取らえぬ月の内の楓のごとき妹をいかにせむ
- 巻4-635 草枕旅には妻は率たれども匣の内の珠をこそ思へ
- 巻4-636 わが衣形見に奉る敷栲の枕を離けず巻きてさ寝ませ
- 巻4-638 ただ一夜隔てしからにあらたまの月か経ぬると心惑ひぬ
- 巻4-640 はしけやし間近き里を雲居にや恋ひつつをらむ月も経なくに
- 巻4-642 (未)
- 巻4-670 月読の光に来ませあしひきの山きへなりて遠からなくに
- 巻6-985 天にます月読壮士賄はせむ今夜の長さ五百夜継ぎこそ
- 巻6-986 はしきやし間近き里の君来むとおほのびにかも月の照りたる
- 巻6-989 焼太刀の稜打ち放ち大夫の寿く豊御酒に我れ酔ひにけり
- 巻8-1544 牽牛の思ひますらむ心より見る我苦し夜の更けゆけば
- 巻8-1545 織女の袖つぐ宵の暁は川瀬の鶴は鳴かずともよし
- 巻8-1550 秋萩の散りの乱ひに呼び立てて鳴くなる鹿の声の遥けさ
- 巻8-1552 夕月夜心もしのに白露の置くこの庭に蟋蟀鳴くも
- 巻8-1618 (未)