3348番~3577番
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- 筑波嶺の新桑繭の衣はあれど君が御衣しあやに着欲しも
- 筑波嶺に雪かも降らる否をかも愛しき児ろが布乾さるかも
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- 麁玉の伎倍の林に汝を立てて行きかつましじ寐を先立たね
- 伎倍人の斑衾に綿さはだ入りなましもの妹が小床に
- 天の原富士の柴山木の暗の時ゆつりなば逢はずかもあらむ
- 富士の嶺のいや遠長き山道をも妹許とへば気によばず来ぬ
- 霞ゐる富士の山びに我が来なばいづち向きてか妹が嘆かむ
- さ寝らくは玉の緒ばかり恋ふらくは富士の高嶺の鳴沢のごと
- 駿河の海おし辺に生ふる浜つづら汝を頼み母に違ひぬ
- 伊豆の海に立つ白波のありつつも継ぎなむものを乱れしめめや
- 足柄の彼面此面にさす罠のかなるましづみ子ろ我れ紐解く
- 相模嶺の小峰見退くし忘れ来る妹が名呼びて我を音し泣くな
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- 足柄の箱根の山に粟蒔きて実とはなれるを逢はなくも怪し
- 鎌倉の見越の崎の岩崩えの君が悔ゆべき心は持たじ
- ま愛しみさ寝に我は行く鎌倉の水無瀬川に潮満つなむか
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- 足柄の土肥の河内に出づる湯の世にもたよらに子ろが言はなくに
- 足柄の麻万の小菅の菅枕あぜかまかさむ子ろせ手枕
- 足柄の箱根の嶺ろのにこ草の花妻なれや紐解かず寝む
- 足柄の御坂畏み曇り夜の我が下ばへをこち出つるかも
- 相模道の余呂伎の浜の真砂なす児らは愛しく思はるるかも
- 多摩川にさらす手作りさらさらに何そこの児のここだ愛しき
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- 恋しけば袖も振らむを武蔵野のうけらが花の色に出なゆめ
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- 埼玉の津に居る船の風をいたみ綱は絶ゆとも言な絶えそね
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- にほ鳥の葛飾早稲を饗すともその愛しきを外に立てめやも
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- 筑波嶺の嶺ろに霞居過ぎかてに息づく君を率寝て遣らさね
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- 筑波嶺のをてもこのもに守部据ゑ母い守れども魂ぞ合ひにける
- さ衣の小筑波嶺ろの山の崎忘ら来ばこそ汝を懸けなはめ
- 小筑波の嶺ろに月立し間夜はさはだなりぬをまた寝てむかも
- 小筑波の茂き木の間よ立つ鳥の目ゆか汝を見むさ寝ざらなくに
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- 人皆の言は絶ゆとも埴科の石井の手児が言な絶えそね
- 信濃道は今の墾り道 刈りばねに足踏ましなむ沓はけ我が背
- 信濃なる筑摩の川の細石も君し踏みてば玉と拾はむ
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- 我が恋はまさかも愛し草枕多胡の入野の奥も愛(かな)しも
- 上つ毛野安蘇の真麻群)かき抱き寝れど飽かぬをあどか我がせむ
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- 新田山嶺にはつかなな我に寄そり間なる子らしあやに愛しも
- 伊香保ろに天雲い継ぎかぬまづく人とおたはふいざ寝しめとら
- 伊香保ろの沿ひの榛原ねもころに奥をな兼ねそまさかしよかば
- 多胡の嶺に寄せ綱延へて寄すれどもあに来やしづしその顔よきに
- 上つ毛野久路保の嶺ろの葛葉がた愛しけ子らにいや離り来も
- 利根川の川瀬も知らず直渡り波にあふのす逢へる君かも
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- 伊香保嶺に雷な鳴りそね我が上には故はなけども子らによりてぞ
- 伊香保風吹く日吹かぬ日ありと言へど我が恋のみし時なかりけり
- 上つ毛野伊香保の嶺ろに降ろ雪の行き過ぎかてぬ妹が家のあたり
- 下つ毛野三毳の山のこ楢のす目ぐはし児ろは誰が笥か持たむ
- 下つ毛野安蘇の川原よ石踏まず空ゆと来ぬよ汝が心 告れ
- 会津嶺の国をさ遠み逢はなはば偲ひにせもと紐結ばさね
- 筑紫なるにほふ子ゆゑに陸奥の可刀利娘子の結ひし紐解く
- 安達太良の嶺に臥す鹿猪のありつつも我れは至らむ寝処な去りそね
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- 志太の浦を朝漕ぐ船は由なしに漕ぐらめかもよ由こさるらめ
- 足柄の安伎奈の山に引こ船の後引かしもよここば児がたに
- 足柄の吾を可鶏山のかづの木の吾をかづさねも門さかずとも
- 薪伐る鎌倉山の木垂る木をまつと汝が言はば恋ひつつやあらむ
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- しらとほふ小新田山の守る山のうら枯れせなな常葉にもがも
- 陸奥の安達太良真弓はじき置きて反らしめきなば弦はかめかも
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- 鈴が音の早馬駅家の堤井の水を賜へな妹が直手よ
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- 東道の手児の呼坂越えがねて山にか寝むも宿りはなしに
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- 妹なろが使ふ川津のささら荻葦と人言語りよらしも
- 草蔭の安努な行かむと墾りし道安努は行かずて荒草立ちぬ
- 花散らふこの向つ峰の乎那の峰の洲につくまで君が代もがも
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- 恋しけば来ませ我が背子垣つ柳末摘み枯らし我れ立ち待たむ
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- 稲つけば皹る我が手を今夜もか殿の若子が取りて嘆かむ
- 誰れぞこの屋の戸押そぶる新嘗に我が背を遣りて斎ふこの戸を
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- 高麗錦紐解き放けて寝るがへに何どせろとかもあやに愛しき
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- 山鳥の尾ろの初麻に鏡懸け唱ふべみこそ汝に寄そりけめ
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- 人妻とあぜかそを言はむ然らばか隣の衣を借りて着なはも
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- 東道の手児の呼坂越えて去なば我(あ)れは恋ひむな後は逢ひぬとも
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- 麻苧らを麻笥にふすさに績まずとも明日着せさめやいざせ小床に
- 剣大刀身に添ふ妹を取り見がね音をぞ泣きつる手児にあらなくに
- 愛し妹を弓束並べ巻きもころ男のこととし言はばいや勝たましに
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- 柳こそ伐れば生えすれ世の人の恋に死なむをいかにせよとぞ
- 小山田の池の堤にさす柳成りも成らずも汝と二人はも
- 遅速も汝をこそ待ため向つ峰の椎の小枝の逢ひは違はじ
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- 橘の古婆の放髪が思ふなむ心愛しいで吾は行かな
- 川上の根白高萱あやにあやにさ寝さ寝てこそ言に出にしか
- 海原の根柔ら小菅あまたあれば君は忘らす我れ忘るれや
- 岡に寄せ我が刈る萱のさね萱のまことなごやは寝ろとへなかも
- 紫草は根をかも終ふる人の子のうら愛しけを寝を終へなくに
- 安波峰ろの峰ろ田に生はるたはみづら引かばぬるぬる我を言な絶え
- 我が目妻人は放くれど朝顔のとしさへこごと我は離るがへ
- 安齊可潟潮干のゆたに思へらばうけらが花の色に出めやも
- 春へ咲く藤の末葉のうら安にさ寝る夜ぞなき子ろをし思へば
- うちひさつ宮の瀬川のかほ花の恋ひてか寝らむ昨夜も今夜も
- 新室のこどきに至ればはだすすき穂に出し君が見えぬこのころ
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- 我が面の忘れむしだは国溢り嶺に立つ雲を見つつ偲はせ
- 対馬の嶺は下雲あらなふ可牟の嶺にたなびく雲を見つつ偲はも
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- 坂越えて安倍の田の面に居る鶴のともしき君は明日さへもがも
- 真小薦の節の間近くて逢はなへば沖つ真鴨の嘆きぞ我がする
- 水久君野に鴨の這ほのす子ろが上に言緒ろ延へていまだ寝なふも
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- 等夜の野に兎狙はりをさをさも寝なへ児ゆゑに母にころはえ
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- 柵越しに麦食む小馬のはつはつに相見し児らしあやに愛しも
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- 阿須可川下濁れるを知らずして背ななと二人さ寝て悔しも
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- 多由比潟潮満ちわたるいづゆかも愛しき背ろが我がり通はむ
- 押して否と稲は搗かねど波の穂のいたぶらしもよ昨夜ひとり寝て
- 阿遅可麻の潟にさく波平瀬にも紐解くものか愛しけを置きて
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- 荒礒やに生ふる玉藻のうち靡きひとりや寝らむ我を待ちかねて
- 比多潟の礒のわかめの立ち乱え我をか待つなも昨夜も今夜も
- 小菅ろの浦吹く風のあどすすか愛しけ児ろを思ひ過ごさむ
- かの子ろと寝ずやなりなむはだすすき宇良野の山に月片寄るも
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- 置きて行かば妹はま愛し持ちて行く梓の弓の弓束にもが
- 後れ居て恋ひば苦しも朝狩の君が弓にもならましものを
- 防人に立ちし朝明の金門出に手離れ惜しみ泣きし児らはも
- 葦の葉に夕霧立ちて鴨が音の寒き夕し汝をば偲はむ
- 己妻を人の里に置きおほほしく見つつそ来ぬるこの道の間
- あど思へか阿自久麻山の弓絃葉の含まる時に風吹かずかも
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- 小里なる花橘を引き攀ぢて折らむとすれどうら若みこそ
- 美夜自呂のすかへに立てるかほが花な咲き出でそね隠めて偲はむ
- 苗代の小水葱が花を衣に摺りなるるまにまに何ぜか愛しけ
- 愛し妹をいづち行かめと山菅の背向に寝しく今し悔しも