大和の国のこころ、万葉のこころ

不肖私がこよなく愛する『万葉集』の鑑賞blogです。

笠郎女の歌(索引)

  1. 巻3-395 託馬野に生ふる紫草衣に染めいまだ着ずして色に出でにけり
  2. 巻3-396 陸奥の真野の草原遠けども面影にして見ゆといふものを
  3. 巻3-397 奥山の岩本菅を根深めて結びし心忘れかねつも
  4. 巻4-587 我が形見見つつ偲はせあらたまの年の緒長く我れも思はむ
  5. 巻4-588 白鳥の飛羽山松の待ちつつぞ我が恋ひわたるこの月ごろを
  6. 巻4-589 衣手を打廻の里にある我れを知らにぞ人は待てど来ずける
  7. 巻4-590 あらたまの年の経ぬれば今しはとゆめよ我が背子我が名告らすな
  8. 巻4-591 我が思ひを人に知るれや玉櫛笥開きあけつと夢にし見ゆる
  9. 巻4-592 闇の夜に鳴くなる鶴の外のみに聞きつつかあらむ逢ふとはなしに
  10. 巻4-593 君に恋ひ甚も術なみ奈良山の小松が下に立ち嘆くかも
  11. 巻4-594 我が屋戸の夕影草の白露の消ぬがにもとな思ほゆるかも
  12. 巻4-595 我が命の全けむ限り忘れめやいや日に異には思ひ増すとも
  13. 巻4-596 八百日行く浜の真砂も我が恋にあにまさらじか沖つ島守
  14. 巻4-597 うつせみの人目を繁み石橋の間近き君に恋ひわたるかも
  15. 巻4-598 恋にもぞ人は死にする水無瀬川下ゆ我れ痩す月に日に異に
  16. 巻4-599 朝霧のおほに相見し人故に命死ぬべく恋ひわたるかも
  17. 巻4-600 伊勢の海の磯もとどろに寄する波畏き人に恋ひわたるかも
  18. 巻4-601 心ゆも我は思はずき山川も隔たらなくにかく恋ひむとは
  19. 巻4-602 夕されば物思ひ益さる見し人の言問ふ姿面影にして
  20. 巻4-603 思ふにし死にするものにあらませば千たびぞ我れは死に返らまし
  21. 巻4-604 剣太刀身に取り副ふと夢に見つ何の兆そも君に逢はむため
  22. 巻4-605 天地の神の理なくはこそ我が思ふ君に逢はず死にせめ
  23. 巻4-606 我れも思ふ人もな忘れおほなわに浦吹く風のやむ時もなし
  24. 巻4-607 皆人を寝よとの鐘は打つなれど君をし思へば寐ねかてぬかも
  25. 巻4-608 相思はぬ人を思ふは大寺の餓鬼の後に額づくがごと
  26. 巻4-609 心ゆも我は思はずきまたさらに我が故郷に帰り来むとは
  27. 巻4-610 近くあれば見ねどもあるをいや遠く君がいまさば有りかつましじ
  28. 巻8-1451 水鳥の鴨の羽色の春山のおほつかなくも思ほゆるかも
  29. 巻8-1616 朝ごとに我が見る宿のなでしこの花にも君はありこせぬかも

 

笠郎女

 『万葉集』末期(第4期)の歌人(生没年未詳)。出自経歴は不詳だが、笠金村あるいは沙弥満誓(さみまんせい)の縁故者ではないかと言われる。若い頃の大伴家持をめぐる女性の一人。集中に短歌29首を残し、すべて家持への贈歌で、恋の始まりから終わりまでの恋情の諸相が詠まれている。序詞、枕詞、比喩などを駆使し、技巧的にすぐれ、自らの恋心を多面的、個性的にうたっている。万葉女流歌人を代表する一人で、女流としては大伴坂上郎に次ぐ歌数である。

『万葉集』主な歌人の歌(索引)