大和の国のこころ、万葉のこころ

不肖私がこよなく愛する『万葉集』の鑑賞blogです。

人は古りゆく・・・巻第10-1884~1885

訓読 >>>

1884
冬過ぎて春し来(きた)れば年月(としつき)は新たなれども人は古(ふ)りゆく

1885
物(もの)皆(みな)は新たしきよしただしくも人は古(ふ)りにしよろしかるべし

 

要旨 >>>

〈1884〉冬が過ぎて春がやってくると、年月は新しくなるけれども、人は古くなっていく。

〈1885〉物というものはみな新しいものがよいが、人は古くなるのがよろしかろうぞ。

 

鑑賞 >>>

 「老いを嘆く」とある2首。1884では、年は新しくなっても人間は古くなっていきますね、と歌い、1885では、いやいや物のほうは新しいのがよいが、人間は古くなっていくのがいいんだ、と否定しています。

 これらの歌から想起するのが、中国初唐の詩人、劉廷芝(りゅうていし)の『代悲白頭翁(白頭を悲しむ翁に代わって)』にある「年々年歳々花相似たり、歳々年々人同じからず」の一節であります。来る年も来る年も、花は同じように咲いているが、それを見る人は同じではない・・・。

 

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