大和の国のこころ、万葉のこころ

不肖私がこよなく愛する『万葉集』の鑑賞blogです。

時守の打ち鳴す鼓・・・巻第11-2641

訓読 >>>

時守(ときもり)の打ち鳴す鼓(つづみ)数(よ)みみれば時にはなりぬ逢はなくもあやし

 

要旨 >>>

時守の打ち鳴らす太鼓の音を数えてみると、もうその時刻になった。なのにあの方が逢いにやって来ないのはおかしい。

 

鑑賞 >>>

 約束の時刻になっても来ない恋人のことを訝っている女の歌です。「時守」というのは、陰陽寮(おんようりょう)という天文・暦数などを司った役所の役人のことで、水時計の番をし、鐘や太鼓を鳴らして時刻を知らせていました。この時代、すでにそうした公的サービスの制度があったんですね。

 そういえば、私が子供のころに住んでいた町でも、毎晩9時になると、役所が鳴らす「ねんねんころりよ」の子守歌の、鐘によるメロディーが流れていたのを覚えています。それを合図に寝床に入るのを習慣にしていましたが、夜に静かに響く鐘の音は、子供心にもなかなか風情があっていいもんでした。

 

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