大和の国のこころ、万葉のこころ

不肖私がこよなく愛する『万葉集』の鑑賞blogです。

夕占にも占にも告れる今夜だに・・・巻第11-2613

訓読 >>>

夕占(ゆふけ)にも占(うら)にも告(の)れる今夜(こよひ)だに来まさぬ君をいつとか待たむ

 

要旨 >>>

夕占いにも他の占いにも、いらっしゃるとお告げがあった今夜、こんな今夜さえおいでにならないあなたを、いったいいつと思ってお待ちすればよいのでしょう。

 

鑑賞 >>>

 この時代にも、いろいろな「占い」があったようで、この歌にある「夕占(ゆうけ)」もその一つです。辻占(つじうら)、道占(みちうら)ともいい、夕方、道端に立って、一定の範囲の場所を定め、米をまいて呪文を唱えるなどして、その場所を通る通行人のことばを聞いて吉凶禍福を占ったといいます。辻は、人だけでなく神も通る場所であると考えられ、偶然そこを通った人々の言葉を神の託宣と考えたようです。また、 時代が下った江戸時代には「辻占売り」というものが現れて、吉凶の文句などを書いた紙片を、道行く人に呼びかけて売るようになったといいます。

 

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