大和の国のこころ、万葉のこころ

不肖私がこよなく愛する『万葉集』の鑑賞blogです。

春日野に煙立つ見ゆ・・・巻第10-1879

訓読 >>>

春日野(かすがの)に煙(けぶり)立つ見ゆ娘子(をとめ)らし春野のうはぎ摘(つ)みて煮(に)

 

要旨 >>>

春日野に煙が立ち上るのが見えるよ。 若い娘たちが集まって春の野のうはぎを摘んで煮ているのだろうな。

 

鑑賞 >>>

 春日山の麓の緩やかな台地である「春日野」は、奈良市の東部、今の奈良公園を含む一帯にあたります。宮廷からも近く、当時の都人にとって格好のレジャーランドだったはずです。「うはぎ」はキク科の嫁菜(よめな)のことで、当時から代表的な春の摘み草であり、食用にされていました。

 

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