訓読 >>>
もののふの八十娘子(やそをとめ)らが汲(く)み乱(まが)ふ寺井(てらゐ)の上の堅香子(かたかご)の花
要旨 >>>
たくさんの乙女たちが、入り乱れては水を汲む、寺の境内にある井戸のそばに群がって咲いているカタクリの花よ。
鑑賞 >>>
「堅香子の花を手折る歌」と題されています。「堅香子」は「かたくり」の古名、水辺の地に群生し、春先に清楚で可憐な花を咲かせます。集まってにぎやかに水を汲む乙女らの様子が、かたくりの花に託して詠まれています。「もののふの」は「八十」の枕詞。「八十」は数の多いこと。「寺井」は寺の境内にある井戸。