大和の国のこころ、万葉のこころ

不肖私がこよなく愛する『万葉集』の鑑賞blogです。

みをつくし心尽くして・・・巻第12-3162

訓読 >>>

みをつくし心尽くして思へかもここにももとな夢(いめ)にし見ゆる

 

要旨 >>>

家の妻が、身を尽くし心を尽くして私のことを思ってくれているせいか、旅先のここにいても、わけもなく妻の姿が夢に出てくる。

 

鑑賞 >>>

 「羈旅発思」(旅にあって思いを発した歌)。3162の「みをつくし」は「心」の枕詞。「もとな」はわけもなく、むやみに、の意。万葉の人々は、この歌のように、夢に人を見るのは、相手がこちらを思うせいだと考えていました。また、当時は「夢」を「いめ」と言っていました。元は「寝目(いめ)」という意味だったようです。

 

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