訓読 >>>
みをつくし心尽くして思へかもここにももとな夢(いめ)にし見ゆる
要旨 >>>
家の妻が、身を尽くし心を尽くして私のことを思ってくれているせいか、旅先のここにいても、わけもなく妻の姿が夢に出てくる。
鑑賞 >>>
「羈旅発思」(旅にあって思いを発した歌)。3162の「みをつくし」は「心」の枕詞。「もとな」はわけもなく、むやみに、の意。万葉の人々は、この歌のように、夢に人を見るのは、相手がこちらを思うせいだと考えていました。また、当時は「夢」を「いめ」と言っていました。元は「寝目(いめ)」という意味だったようです。