訓読 >>>
あをによし奈良(なら)の山なる黒木もち造れる室(むろ)は座(ま)せど飽(あ)かぬかも
要旨 >>>
奈良の山にある黒木で造ったこの室は、いつまで居ても飽きることがない。
鑑賞 >>>
長屋王の邸で酒宴があった時に、聖武天皇が詠んだ儀礼の歌。「あをによし」は「奈良」の枕詞。長屋王の邸は佐保にあったので、奈良山が最も近い山でした。「黒木」は皮を剥いでいない材木。美しい自邸を造っていた長屋王ですが、この後しばらくして藤原四兄弟との政争に敗れ、自害して果てることになります(長屋王の変)。
長屋王の略年譜
684年 高市皇子と御名部皇女の間に生まれる(676年説も)
718年 大納言になる
720年 藤原不比等が死去
721年 右大臣となる
724年 聖武天皇が即位し、長屋王は左大臣となる
729年 長屋王の変