大和の国のこころ、万葉のこころ

不肖私がこよなく愛する『万葉集』の鑑賞blogです。

奈良の山なる黒木もち・・・巻第8-1638

訓読 >>>

あをによし奈良(なら)の山なる黒木もち造れる室(むろ)は座(ま)せど飽(あ)かぬかも

 

要旨 >>>

奈良の山にある黒木で造ったこの室は、いつまで居ても飽きることがない。

 

鑑賞 >>>

 長屋王の邸で酒宴があった時に、聖武天皇が詠んだ儀礼の歌。「あをによし」は「奈良」の枕詞。長屋王の邸は佐保にあったので、奈良山が最も近い山でした。「黒木」は皮を剥いでいない材木。美しい自邸を造っていた長屋王ですが、この後しばらくして藤原四兄弟との政争に敗れ、自害して果てることになります(長屋王の変)。

 

長屋王の略年譜

684年 高市皇子御名部皇女の間に生まれる(676年説も)
718年 大納言になる
720年 藤原不比等が死去
721年 右大臣となる
724年 聖武天皇が即位し、長屋王左大臣となる
729年 長屋王の変