大和の国のこころ、万葉のこころ

不肖私がこよなく愛する『万葉集』の鑑賞blogです。

人妻に言ふは誰が言・・・巻第12-2866

訓読 >>>

人妻に言ふは誰(た)が言(こと)さ衣(ごろも)のこの紐(ひも)解けと言ふは誰が言(こと)

 

要旨 >>>

人妻である私に言い寄るのは誰のおことば? 下着の紐を解いて寝ようと言い寄るのは誰のおことば?

 

鑑賞 >>>

 「さ衣」の「さ」は接頭語。「紐」は下着の紐。紐を結び合うのは、夫婦や恋人同士の愛の行為であり、「紐解け」は共寝をしようという誘いかけになります。人妻である自分への夫以外の男からの誘いを拒みつつ、からかっている歌とされますが、それとも「嫌よ嫌よも好きのうち」でありましょうか。この時代は、人妻とはいえ、夫婦同棲していず、その関係も秘密である場合が多かったため、他の男から求められることはよくあったものとみられます。