大和の国のこころ、万葉のこころ

不肖私がこよなく愛する『万葉集』の鑑賞blogです。

袖を笠に着濡れつつぞ来し・・・巻第12-3123~3124

訓読 >>>

3123
ただひとり寝(ぬ)れど寝(ね)かねて白栲(しろたへ)の袖(そで)を笠に着(き)濡れつつぞ来(こ)し

3124
雨も降り夜(よ)も更(ふ)けにけり今さらに君 去(い)なめやも紐(ひも)解き設(ま)けな

 

要旨 >>>

〈3123〉たった一人で寝てみたけれど、恋しくて寝るに寝られず、袖をかざして笠代わりにして雨の中を濡れながらやってきたよ。

〈3124〉雨も降っているし、夜もすっかり更けています。このままお帰りになるってことはないでしょうね。さあ、紐を解いて共寝の準備をしましょう。

 

鑑賞 >>>

 作者未詳歌。3123の「白栲の」は「袖」の「枕詞。3124の「設く」は準備をする意。この歌は、女が酒の相手などしていて、雨が降り出し、夜も更けたといって、強いて男を泊まらせようとする歌であり、上の歌とは関係のない歌を、雨と女とがあるので、強いて組合わせたものだろうとする見方があります。