訓読 >>>
咲く花もをそろはうとしおくてなる長き心になほ及(し)かずけり
要旨 >>>
咲く花は色々ですが、せっかちに咲く花はあまり好きになれません。ゆっくり咲く花の、息の長い変わらぬ心には及びません。
鑑賞 >>>
大伴坂上郎女の歌。「をそろ」は、せっかち、早熟、軽率、ここでは早咲きの意。「うとし」は親しくない。「おくて」は遅咲き、晩生。遅咲きの萩を讃えて詠んだ歌ですが、ただちに男女関係が連想される歌であり、国文学者の窪田空穂は「ある年齢に達した聡明な女性の心というべきである。安らかで、冴えた歌である」と評しています。女性の皆さま方におかれましては、やはりせっかちな男はお嫌いでしょうか?