大和の国のこころ、万葉のこころ

不肖私がこよなく愛する『万葉集』の鑑賞blogです。

咲く花もをそろはうとし・・・巻第8-1548

訓読 >>>

咲く花もをそろはうとしおくてなる長き心になほ及(し)かずけり

 

要旨 >>>

咲く花は色々ですが、せっかちに咲く花はあまり好きになれません。ゆっくり咲く花の、息の長い変わらぬ心には及びません。

 

鑑賞 >>>

 大伴坂上郎女の歌。「をそろ」は、せっかち、早熟、軽率、ここでは早咲きの意。「うとし」は親しくない。「おくて」は遅咲き、晩生。遅咲きの萩を讃えて詠んだ歌ですが、ただちに男女関係が連想される歌であり、国文学者の窪田空穂は「ある年齢に達した聡明な女性の心というべきである。安らかで、冴えた歌である」と評しています。女性の皆さま方におかれましては、やはりせっかちな男はお嫌いでしょうか?