大和の国のこころ、万葉のこころ

不肖私がこよなく愛する『万葉集』の鑑賞blogです。

振分の髪を短み・・・巻第11-2540

訓読 >>>

振分(ふりわけ)の髪を短(みじか)み春草(はるくさ)を髪に束(た)くらむ妹(いも)をしぞおもふ

 

要旨 >>>

あの娘は短い振分髪で、まだ結えないので、春草を足して髪に束ねてでもいるだろうか、可愛くてあどけないあの娘のことが恋しくしのばれる。

 

鑑賞 >>>

 「振分の髪」は、髪を肩のあたりまで垂らして切り、まだ髪を結べない童女の髪型。「短み」は短いので。「束く」は、髪を束ねあげる、髪を結い上げる。娘が髪を結い上げるのは一人前の大人の女になることを意味し、もう結婚してもよいという証しにもなります。「妹をしぞおもふ」は、あの娘が大人になったら結婚したいという心の告白とみられますが、斎藤茂吉は、「あの時代には随分小さくて男女の関係を結んだこともあったと見做(みな)してこの歌を解釈することもできる」と言っています。