大和の国のこころ、万葉のこころ

不肖私がこよなく愛する『万葉集』の鑑賞blogです。

白露と秋萩とには恋ひ乱れ・・・巻第10-2171~2173

訓読 >>>

2171
白露(しらつゆ)と秋萩(あきはぎ)とには恋ひ乱れ別(わ)くことかたき我(あ)が心かも

2172
我(わ)が宿(やど)の尾花(をばな)押しなべ置く露(つゆ)に手触れ我妹子(わぎもこ)散らまくも見む

2173
白露(しらつゆ)を取らば消(け)ぬべしいざ子ども露に競(きほ)ひて萩の遊びせむ

 

要旨 >>>

〈2171〉白露と秋萩とは、どちらも好きで、どちらが好いなどと、選びかねる私の心です。

〈2172〉庭先の尾花がたわむほどについた露に、手を触れてくれないか、わが妻よ。露がこぼれ落ちるのを見たいから。

〈2173〉白露を手に取ったなら消えてしまうだろう。さあみんな、露と競って萩に親しみ、宴を開こうではないか。

 

鑑賞 >>>

 「露」を詠んだ作者未詳歌です。2171の「別く」は、判断する。2172の「宿」は、庭。「尾花」はススキ。2173の「子ども」は、目下の者に親しく呼びかける語。「露に競ひて」は、男女に擬せられる萩(女)と露(男)の関係を踏まえ、我々も露と競って、萩の花を見て楽しむ酒宴を開こうと言ってる歌です。白露も秋萩も、秋の代表的な風物です。

 

野の花 万葉の花

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