大和の国のこころ、万葉のこころ

不肖私がこよなく愛する『万葉集』の鑑賞blogです。

見れば恐し見ねば悲しも・・・巻第7-1369

訓読 >>>

天雲(あまくも)に近く光りて鳴る神の見れば恐(かしこ)し見ねば悲しも

 

要旨 >>>

遙か遠い天雲の近くで光って鳴る雷は、見るからに恐ろしいけれど、見なければ見ないで悲しい。

 

鑑賞 >>>

 「天雲」は空にある雲。「鳴る神」は「雷」のことで、身分の高い男に譬えています。近くにいると緊張して何もできなくなってしまうけれど、まったく姿が見られないのは寂しいと、恋のジレンマが詠われています。まーしかし、身分が違わなくとも、恋する相手の前では、誰もがこんなふうになるのではないでしょうか。