大和の国のこころ、万葉のこころ

不肖私がこよなく愛する『万葉集』の鑑賞blogです。

見わたせば近き渡りをた廻り・・・巻第11-2379

訓読 >>>

見わたせば近き渡りをた廻(もとほ)り今か来(き)ますと恋ひつつぞ居(を)る

 

要旨 >>>

見渡すと、近い渡り場所なのに、回り道をしながらあなたがいらっしゃるのを、今か今かと待ち焦がれています。

 

鑑賞 >>>

 「渡り」は、舟の渡し場にも言いますが、ここでは野の二つの場所の隔たりのこと。「た廻り」は行ったり来たりして、回り道をして。「今か来ます」の「か」は疑問。人目を避けて回り道をしてやって来る男を待っている歌、あるいは、先の見通せる近道のような恋ではなく、回り道をしてでもいつか必ず叶えたいという意味にもとらえられます。