大和の国のこころ、万葉のこころ

不肖私がこよなく愛する『万葉集』の鑑賞blogです。

時守の打ち鳴す鼓数みみれば・・・巻第11-2641

訓読 >>>

時守(ときもり)の打ち鳴す鼓(つづみ)数(よ)みみれば時にはなりぬ逢はなくもあやし

 

要旨 >>>

時守の打ち鳴らす太鼓の音を数えてみると、もうその時刻になった。なのにあの方が逢いにやってこないのはおかしい。

 

鑑賞 >>>

 「時守」は、律令制下の陰陽寮(おんようりょう)の役人のことで、漏刻すなわち水時計の番をし、鐘や太鼓を鳴らして時刻を知らせました。一昼夜を12の時刻に分け、それをさらに4刻に分けて報じるものでした。陰陽寮は、7世紀後半、天武天皇によって設置され、長官の陰陽頭(おんようのかみ)の下に、陰陽博士・暦博士漏刻博士などが配属されました。

 時守の鳴らす時刻によって約束をするという、当時の人々の生活のあり方が実感できる歌です。