大和の国のこころ、万葉のこころ

不肖私がこよなく愛する『万葉集』の鑑賞blogです。

一二の目のみにはあらず・・・巻第16-3827

訓読 >>>

一二(いちに)の目のみにはあらず五六三四(ごろくさむし)さへありけり双六(すごろく)のさえ

 

要旨 >>>

一二の目だけでなく、五、六に加え、三、四の目さえあるのだからな、双六のサイコロには。

 

鑑賞 >>>

 「双六(すごろく)の賽(さい)の目を詠む」歌。双六は、万葉人も夢中になった遊びの一つです。白黒それぞれ12個の石を、2つのさいころを投げて出た数に応じて敵方に進めます。双六はもともとはインドが発祥地で、中国を経由して日本に伝わってきました。ところが、『日本書紀』には、持統天皇の時代の689年に双六を禁止したという記述があり、698年にも禁止令が出されていて、その熱狂ぶりは尋常ではなかったようです。

 この歌は、人間の目が2つであるのに対して、いくつもの目を出すさいころを面白がって歌っています。「双六のさえ」の「さえ」は、さいころ