訓読 >>>
皆(みな)人(ひと)の待ちし卯(う)の花散りぬとも鳴く霍公鳥(ほととぎす)我(わ)れ忘れめや
要旨 >>>
皆の誰もが待っていた卯の花が散ってしまっても、鳴いているホトトギスの声を、私はどうして忘れることができようか。
鑑賞 >>>
大伴清綱(おおとものきよつな:伝未詳)の歌。『万葉集』にはこの1首のみ。「皆人」は、宴席の人々を指しています。「我れ忘れめや」の「や」は反語。
花が「卯の花」と呼ばれるウツギは、日本と中国に分布するアジサイ科の落葉低木です。 花が旧暦の4月「卯月」に咲くのでその名が付いたと言われる一方、卯の花が咲く季節だから旧暦の4月を卯月と言うようになったとする説もあり、どちらが本当か分かりません。ウツギは漢字で「空木」と書き、茎が中空なのでこの字が当てられています。
枕詞の用例数
- あしひきの 108
- ぬばたまの 80
- しろたへの 61
- ひさかたの 50
- くさまくら 49
- たまほこの 37
- あらたまの 34
- しきたへの 34
- あをによし 27
- まそかがみ 27
- やすみしし 27
- たらちねの 24
- あまざかる 23
- うつせみの 23
- おほふねの 21
- あづさゆみ 20
- ももしきの 20
- こもりくの 19
- たまきはる 19
- たまのをの 18
- もののふの 18
- たまくしげ 16
- たまだすき 16
- たまづさの 15
- うちなびく 14
- わかくさの 14
- うちひさす 13
- ちはやぶる 13
- あまくもの 12
- いさなとり 12
- あかねさす 11
- たまかぎる 11
※ 参考文献はこちらに記載しています。⇒『万葉集』について