大和の国のこころ、万葉のこころ

不肖私がこよなく愛する『万葉集』の鑑賞blogです。

皆人の待ちし卯の花散りぬとも・・・巻第8-1482

訓読 >>>

皆(みな)人(ひと)の待ちし卯(う)の花散りぬとも鳴く霍公鳥(ほととぎす)我(わ)れ忘れめや

 

要旨 >>>

皆の誰もが待っていた卯の花が散ってしまっても、鳴いているホトトギスの声を、私はどうして忘れることができようか。

 

鑑賞 >>>

 大伴清綱(おおとものきよつな:伝未詳)の歌。『万葉集』にはこの1首のみ。「皆人」は、宴席の人々を指しています。「我れ忘れめや」の「や」は反語。

 花が「卯の花」と呼ばれるウツギは、日本と中国に分布するアジサイ科の落葉低木です。 花が旧暦の4月「卯月」に咲くのでその名が付いたと言われる一方、卯の花が咲く季節だから旧暦の4月を卯月と言うようになったとする説もあり、どちらが本当か分かりません。ウツギは漢字で「空木」と書き、茎が中空なのでこの字が当てられています。

 

 

枕詞の用例数

  • あしひきの  108
  • ぬばたまの    80
  • しろたへの    61
  • ひさかたの    50
  • くさまくら    49
  • たまほこの    37
  • あらたまの    34
  • しきたへの    34
  • あをによし    27
  • まそかがみ    27
  • やすみしし    27
  • たらちねの    24
  • あまざかる    23
  • うつせみの    23
  • おほふねの    21
  • あづさゆみ    20
  • ももしきの    20
  • こもりくの    19
  • たまきはる    19
  • たまのをの    18
  • もののふの    18
  • たまくしげ    16
  • たまだすき    16
  • たまづさの    15
  • うちなびく    14
  • わかくさの    14
  • うちひさす    13
  • ちはやぶる    13
  • あまくもの    12
  • いさなとり    12
  • あかねさす    11
  • たまかぎる    11

※ 参考文献はこちらに記載しています。⇒『万葉集』について