訓読 >>>
暁(あかとき)と夜烏(よがらす)鳴けどこの岡の木末(こぬれ)の上はいまだ静けし
要旨 >>>
もう暁だと夜烏がしきりに鳴くが、この山の木々の梢は。いまだしんと静まりかえっている。
鑑賞 >>>
「古歌集に出づ」とある歌。「暁」は、未明、夜明け前のまだ薄暗い時刻。「木末」は、梢、木の枝の先。カラスは一般的に不吉な鳥とされますが、夜明けを一番に告げるものだったことが知られます。
斎藤茂吉はこの歌について、「烏等は、もう暁天(あかつき)になったと告げるけれども、あのように岡の森はまだ静かなのですから、も少しゆっくりしておいでなさい、という女言葉のようにも取れるし、あるいは男がまだ早いからも少しゆっくりしようということを女に向かって言ったものとも取れるし、あるいは男が女の許から帰る時の客観的光景を詠んだものとも取れる。いずれにしても、、暁はやく二人がまだ一緒にいる時の情景で、こういうことをいっているその心持と、暁天の清潔とが相まって、快い一首を仕上げている」と評しています。
枕詞の用例数
- あしひきの 108
- ぬばたまの 80
- しろたへの 61
- ひさかたの 50
- くさまくら 49
- たまほこの 37
- あらたまの 34
- しきたへの 34
- あをによし 27
- まそかがみ 27
- やすみしし 27
- たらちねの 24
- あまざかる 23
- うつせみの 23
- おほふねの 21
- あづさゆみ 20
- ももしきの 20
- こもりくの 19
- たまきはる 19
- たまのをの 18
- もののふの 18
- たまくしげ 16
- たまだすき 16
- たまづさの 15
- うちなびく 14
- わかくさの 14
- うちひさす 13
- ちはやぶる 13
- あまくもの 12
- いさなとり 12
- あかねさす 11
- たまかぎる 11