大和の国のこころ、万葉のこころ

不肖私がこよなく愛する『万葉集』の鑑賞blogです。

春されば樹の木の暗の夕月夜・・・巻第10-1875

訓読 >>>

春されば樹(き)の木(こ)の暗(くれ)の夕月夜(ゆふづくよ)おぼつかなしも山陰(やまかげ)にして

 

要旨 >>>

春になって木々が萌え茂り、それが山陰であるので、ただでさえ光の薄い夕月夜が、いっそう薄くほのかだ。

 

鑑賞 >>>

 「月を詠む」歌。「春されば」は、春になったので。「木の暗」は、木が茂って暗くなっているところ。「おぼつかなし」は、はっきりしない。「山陰にして」は、山陰なので。斎藤茂吉は、「巧みでない寧ろ拙な部分の多い歌ではあるが、『おぼつかなしも』の句に心ひかれる」と言っています。