大和の国のこころ、万葉のこころ

不肖私がこよなく愛する『万葉集』の鑑賞blogです。

防人の歌(30)・・・巻第20-4355

訓読 >>>

よそにのみ見てや渡(わた)らも難波潟(なにはがた)雲居(くもゐ)に見ゆる島ならなくに

 

要旨 >>>

自分とは無関係に思っていた難波潟、ここは、雲の彼方の遠い離れ島というわけではないのに、その難波潟よりさらに遠い筑紫に向かうことになるとは。

 

鑑賞 >>>

 上総国の防人の歌。「よそにのみ」は、無関係なように。「見てや」の「や」は疑問。「ならなくに」は、ではないのに。難波に着いて出航の日を待って過ごしている間に詠まれたもののようです。この歌について窪田空穂は、「屈折の多い言い方をしているもので、これを中央の京の歌としても、あまりにも文芸的な言い方で、解しやすくないものである。防人の歌とすると、甚しく加筆したものにみえる」と言っています。

 

 

防人歌の構成

 兵部少輔の大伴家持に上進された防人たちの歌は、全部で166首ありましたが、「拙劣歌は取り載せず」として82首が省かれました。巻第20の防人歌の構成と国別内訳は下記のとおりです。

遠江国の防人の歌
 4321~4327
 進上18首のうち7首
相模国の防人の歌
 4328~4330
 進上8首のうち3首
大伴家持の歌
 4331~4336
駿河国の防人の歌
 4337~4346
 進上20首のうち10首
上総国の防人の歌
 4347~4359
 進上19首のうち13首
常陸国の防人の歌
 4363~4372
 進上17首のうち10首
下野国の防人の歌
 4373~4383
 進上18首のうち11首
下総国の防人の歌
 4384~4394
 進上22首のうち11首
大伴家持の歌
 4398~4400
信濃国の防人の歌
 4401~4403
 進上12首のうち3首
上野国の防人の歌
 4404~4407
 進上12首のうち4首
大伴家持の歌
 4408~4412
武蔵国の防人の歌
 4413~4424
 進上20首のうち12首
昔年の防人の歌
 4425~4432
昔年に交替した防人の歌
 4436