訓読 >>>
足柄(あしがり)の吾(わ)を可鶏山(かけやま)のかづの木の吾(わ)をかづさねも門(かづ)さかずとも
要旨 >>>
足柄の、私に心を懸けているという可鶏山のように、私をかどわかして下さい、門(かど)を閉ざしていようとも。
鑑賞 >>>
相模の国の歌。「吾を可鶏山」は所在未詳。「かづの木」は「かぢの木」の東北訛りで、ウルシの一種であるヌレデを指すといわれます。上3句が「かづさねも」を導く序詞か。「かづさねも」の意味が分からず、誘う意の「かどふ」と同じ意味ともいわれます。「門(かづ)」は東語。難解な歌ですが、女が男を口説き、自分を盗み出してくれと訴えている歌と解するほかないようです。