大和の国のこころ、万葉のこころ

不肖私がこよなく愛する『万葉集』の鑑賞blogです。

東歌(47)・・・巻第14-3432

訓読 >>>

足柄(あしがり)の吾(わ)を可鶏山(かけやま)のかづの木の吾(わ)をかづさねも門(かづ)さかずとも

 

要旨 >>>

足柄の、私に心を懸けているという可鶏山のように、私をかどわかして下さい、門(かど)を閉ざしていようとも。

 

鑑賞 >>>

 相模の国の歌。「吾を可鶏山」は所在未詳。「かづの木」は「かぢの木」の東北訛りで、ウルシの一種であるヌレデを指すといわれます。上3句が「かづさねも」を導く序詞か。「かづさねも」の意味が分からず、誘う意の「かどふ」と同じ意味ともいわれます。「門(かづ)」は東語。難解な歌ですが、女が男を口説き、自分を盗み出してくれと訴えている歌と解するほかないようです。

 

東海道東山道旧国名比較

東海道
伊賀(三重)/伊勢(三重)/志摩(三重)/尾張(愛知)/三河(愛知)/遠江(静岡)/駿河(静岡)/伊豆(静岡・東京)/甲斐(山梨)/相模(神奈川)/武蔵(埼玉・東京・神奈川)/安房(千葉)/上総(千葉)/下総(千葉・茨城・埼玉・東京)/常陸(茨城)

東山道
近江(滋賀)/美濃(岐阜)/飛騨(岐阜)/信濃(長野)/上野(群馬)/下野(栃木)/岩代(福島)/磐城(福島・宮城)/陸前(宮城・岩手)/陸中(岩手)/羽前(山形)/羽後(秋田・山形)/陸奥(青森・秋田・岩手)