大和の国のこころ、万葉のこころ

不肖私がこよなく愛する『万葉集』の鑑賞blogです。

斎藤茂吉による万葉秀歌(3)

  • 我が背子はいづく行くらむ沖つ藻の名張の山を今日か越ゆらむ(巻第1-43)~当麻真人麻呂の妻

     

  • 阿騎の野に宿る旅人うちなびき寐も寝らめやも古おもふに(巻第1-46)~柿本人麻呂
  • 東の野に炎の立つ見えてかへり見すれば月傾きぬ(巻第1-48)~柿本人麻呂
  • 日並皇子の尊の馬 並めて御猟立たしし時は来向ふ(巻第1-49)~柿本人麻呂

     

  • 采女の袖吹きかへす明日香風都を遠みいたづらに吹く(巻第1-51)~志貴皇子

     

  • 引馬野ににほふ榛原入り乱れ衣にほはせ旅のしるしに(巻第1-57)~長忌寸意吉麻呂

     

  • いづくにか船泊すらむ安礼の埼漕ぎたみ行きし棚無し小舟(巻第1-58)~高市黒人

     

  • いざ子どもはやく日本へ大伴の御津の浜松待ち恋ひぬらむ(巻第1-63)~山上憶良

     

  • 葦べ行く鴨の羽がひに霜降りて寒き夕べは大和し思ほゆ(巻第1-64)~志貴皇子

     

  • 霰打つ安良礼松原住吉の弟日娘と見れど飽かぬかも(巻第1-65)~長皇子

     

  • 大和には鳴きてか来らむ呼子鳥象の中山呼びそ越ゆなる(巻第1-70)~高市黒人

     

  • み吉野の山の下風の寒けくにはたや今夜も我が独り寝む(巻第1-74)~文武天皇

     

斎藤茂吉