大和の国のこころ、万葉のこころ

不肖私がこよなく愛する『万葉集』の鑑賞blogです。

梅が枝に鳴きて移ろふ鴬の・・・巻第10-1840

訓読 >>>

梅が枝(え)に鳴きて移ろふ鴬(うぐひす)の羽(はね)白妙(しろたへ)に沫雪(あわゆき)ぞ降る

 

要旨 >>>

梅の枝から枝へと鳴いて飛び移っているウグイスの、その羽根が真っ白になるほど、沫雪が降っている。

 

鑑賞 >>>

 「雪を詠む」歌。「移ろふ」は、飛び移っている。「白妙に」の「白妙」は梶の木の皮の繊維で織った白い布で、真っ白の意。「沫雪」は、泡のように消えやすい雪。窪田空穂は、この歌を、「耽美気分の濃厚な作」として手腕のある作者の歌と言い、見たままの情景や、心に思ったことを素直に詠うことが「歌の真(まこと)」であると主張する賀茂真淵は、「見たるさまを其のままいひつらねたるが、おのづからうるはしき歌となりたるなり」と評しています。

 

 

 

万葉集』に詠まれた鳥

1位 霍公鳥(ほととぎす) 155首
2位 雁(かり) 66首
3位 鶯(うぐいす) 51首
4位 鶴(つる:歌語としては「たづ」) 45首
5位 鴨(かも) 29首
6位 千鳥(ちどり) 22首
7位 鶏(にわとり)・庭つ鳥 16首
8位 鵜(う) 12首