訓読 >>>
2662
我妹子(わぎもこ)にまたも逢はむとちはやぶる神の社を祷(の)まぬ日はなし
2663
ちはやぶる神の斎垣(いがき)も越えぬべし今は我(わ)が名の惜(を)しけくもなし
要旨 >>>
〈2662〉愛しいあの子にもう一度逢わせて下さいと、神社に行ってお祈りしない日はありません。
〈2663〉神威のあらたかな神の社の、越えてはならない玉垣も越えてしまいそうだ。もう私の名など惜しいとは思わない。
鑑賞 >>>
「寄物陳思(物に寄せて思いを述べた歌)」で、神に寄せての歌。2662の「ちはやぶる」は「神」の枕詞。「神の社」は、神社。「祷む」は、祈る。下3句が同じ歌(2660)があるので、神に祈願するときの定型を思わせます。
2663の「「ちはやぶる」は「神」の枕詞。「斎垣」は、神域の周囲の垣。神聖な物で、絶対に越えてはならないとされているもの。「越えぬべし」は、越えてしまいそうだ。「惜しけく」は、惜しいこと。何らかの恋の妨げに遭い、激しく昂奮しています。
『万葉集』クイズ
- 大伴家持が、痩せた友人に「夏痩せに効くから食べなさい」といって勧めた魚は?
- 高橋虫麻呂が、その肉体の豊満さを赤裸々に賛美した女性の呼び名は?
- 作者未詳の長歌と反歌ばかりを集めているのは第何巻?
- 伝説的な歌やこっけいな歌などを集めているのは第何巻?
- 「神風の」は何という語にかかる枕詞?
- 『万葉集』で最も多く用いられている枕詞は?
- 防人たちが筑紫に向けて出航した港は?
- 防人の任期は何年と定められていた?
- 大伴旅人の父の名は?
- 大津皇子が密会したという女性の呼び名は?
【解答】
1.鰻(うなぎ) 2.珠名娘子(たまなおとめ) 3.第13巻 4.第16巻 5.伊勢 6.あしひきの 7.難波 8.3年 9.大伴安麻呂 10.石川郎女