大和の国のこころ、万葉のこころ

不肖私がこよなく愛する『万葉集』の鑑賞blogです。

思はぬを思ふと言はば真鳥住む・・・巻第12-3100

訓読 >>>

思はぬを思ふと言はば真鳥(まとり)住む雲梯(うなて)の社(もり)の神(かみ)し知らさむ

 

要旨 >>>

思ってもいないのに思っているなどと言うのなら、恐ろしい鷲の棲む雲梯の杜の神さまが成敗なさることだろう。

 

鑑賞 >>>

 「寄物陳思(物に寄せて思いを述べた歌)」で、神に寄せての歌。「真鳥」の「真」は美称で、鳥の代表である鷲、鷹などとされます。「雲梯の杜」は、橿原市雲梯町、大和三山の一つ雲梯山の西北約900mに鎮座する河俣神社。壬申の乱のときに大海人皇子を守護する託宣をした神として知られています。「神し知らさむ」の「知らす」は統治なさる、お治めになる意で、ここは、神が処理なさろう。作者は、神かけて自分の思いが本物であると訴えています。

 

 

 

古典文法

係助詞
助詞の一種で、いろいろな語に付いて強調や疑問などの意を添え、下の術語の働きに影響を与える(係り結び)。「は・も」の場合は、文節の末尾の活用形は変化しない。
〔例〕か・こそ・ぞ・なむ・や

格助詞
助詞の一種で、体言やそれに準じる語に付いて、その語とほかの語の関係を示す。
〔例〕が・に・にて・の

間投助詞
助詞の一種で、文中や文末の文節に付いて調子を整えたり、余情や強調などの意味を添える。
〔例〕や・を

接続助詞
助詞の一種で、用言や助動詞に付いて前後の語句の意味上の関係を表す。
〔例〕して・つつ・に・ば・ものから

終助詞
助詞の一種で、文末に付いて、疑問・詠嘆・願望などを表す。
〔例〕かし・かな・な・なむ・ばや・もがな

副助詞
助詞の一種で、さまざまな語に付いて、下の語の意味を限定する。
〔例〕さへ・し・だに・

助動詞
用言や体言に付いて、打消しや推量などのいろいろな意味を示す。

『万葉集』掲載歌の索引

各巻の概要