大和の国のこころ、万葉のこころ

不肖私がこよなく愛する『万葉集』の鑑賞blogです。

山吹の咲きたる野辺のつぼすみれ・・・巻第8-1444

訓読 >>>

山吹(やまぶき)の咲きたる野辺(のへ)のつぼすみれこの春の雨に盛りなりけり

 

要旨 >>>

山吹の咲いている野辺のツボスミレが、この春雨の中で、たくさん咲いています。

 

鑑賞 >>>

 高田女王(たかたのおおきみ)の歌。高田女王は、天武天皇の曾孫である高安王の娘で、長皇子の曾孫。叔父の今城王(いまきのおおきみ)に贈った歌が、巻第4-537~542に載っています。『万葉集』には7首。

 「つぼすみれ」は、スミレ科の多年草。草丈が人の足首から脛ほどで、長く茎を出し、白くて小さな花をつけますが、あまり目立ちません。庭(坪)に生えていることから、あるいは花の形が大工の持つ墨壺に似ているところからの命名とされます。第4句は、句中に単独母音アを含む字余り句。

 

 

『万葉集』掲載歌の索引

各巻の概要