大和の国のこころ、万葉のこころ

不肖私がこよなく愛する『万葉集』の鑑賞blogです。

春雨のやまず降る降る・・・巻第10-1932~1933

訓読 >>>

1932
春雨のやまず降る降る我(あ)が恋ふる人の目すらを相(あひ)見せなくに

1933
我妹子(わぎもこ)に恋ひつつ居(を)れば春雨のそれも知るごとやまず降りつつ

 

要旨 >>>

〈1932〉春雨が絶え間なく降り続いて、私の恋しい人は、お顔すらも見せてくれない。

〈1933〉あなたを恋しく思い続けていると、春雨が、そんな私の気持を知っているかのように、絶え間なく降り続けている。

 

鑑賞 >>>

 問答歌(問いかけの歌とそれに答える歌によって構成される唱和形式の歌)。1932は女の歌、1933はそれに答えた男の歌。1932の「降る降る」は原文「零々」で、「降り降り」と訓む説もあります。「目すらを」は、顔すらも。「見せなくに」の「に」は、詠嘆。1933の「それも知るごと」は原文「彼毛知如」で、「そも知る如く」と訓むものもあります。「そも」が何を指しているかについて「我妹子」だとして、「そなたも知っているように絶え間なく降り続けている」のように解釈するものもあります。

 

 

万葉集』クイズ

  1. 万葉集』の巻頭を飾る歌を詠んだのは誰?
  2. 万葉集』に最も多くの歌を残しているのは誰?
  3. 万葉集』に最も多くの歌を残している女性は誰?
  4. 万葉集』で最も多く詠まれている植物は?
  5. 年号の「令和」の出典となった漢文が載っているのは第何巻?
  6. 万葉集』で秋の七草を詠んだのは誰?
  7. 万葉集』で最も多く詠まれている鳥は?
  8. 大伴家持の本妻の呼び名は?
  9. 若くして亡くなった大伴家持の弟の名は?
  10. 万葉集』で浦島太郎伝説を詠んだのは誰?

 

【解答】

1.雄略天皇 2.大伴家持 3.大伴坂上郎女 4.萩 5.第5巻 6.山上憶良 7.ホトトギス 8.大伴坂上大嬢 9.大伴書持 10.高橋虫麻呂

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