大和の国のこころ、万葉のこころ

不肖私がこよなく愛する『万葉集』の鑑賞blogです。

かくばかり雨の降らくに・・・巻第10-1963

訓読 >>>

かくばかり雨の降らくに霍公鳥(ほととぎす)卯(う)の花山(はなやま)になほか鳴くらむ

 

要旨 >>>

こんなにも雨が降り続くのに、ホトトギスは、卯の花が咲きにおう山辺で、今もなお鳴いているのだろうか。

 

鑑賞 >>>

 鳥を詠む歌。「雨の降らくに」は、雨の降ることであるのに。「卯の花山」は、卯の花の咲いている山。「なほか鳴くらむ」は、それでも鳴いているのであろうか。

 花が「卯の花」と呼ばれるウツギは、日本と中国に分布するアジサイ科の落葉低木です。 花が旧暦の4月「卯月」に咲くのでその名が付いたと言われる一方、卯の花が咲く季節だから旧暦の4月を卯月と言うようになったとする説もあり、どちらが本当か分かりません。ウツギは漢字で「空木」と書き、茎が中空なのでこの字が当てられています。