大和の国のこころ、万葉のこころ

不肖私がこよなく愛する『万葉集』の鑑賞blogです。

中臣宅守と狭野弟上娘子の贈答歌

中臣宅守と狭野弟上娘子の贈答歌(17)・・・巻第15-3782~3785

訓読 >>> 3782雨隠(あまごも)り物思(ものも)ふ時に霍公鳥(ほととぎす)我(わ)が住む里に来(き)鳴き響(とよ)もす 3783旅にして妹(いも)に恋ふれば霍公鳥(ほととぎす)我(わ)が住む里にこよ鳴き渡る 3784心なき鳥にぞありける霍公鳥(ほと…

中臣宅守と狭野弟上娘子の贈答歌(16)・・・巻第15-3779~3781

訓読 >>> 3779我(わ)が宿(やど)の花橘(はなたちばな)はいたづらに散りか過ぐらむ見る人なしに 3780恋ひ死なば恋ひも死ねとや霍公鳥(ほととぎす)物思(ものも)ふ時に来(き)鳴き響(とよ)むる 3781旅にして物思(ものも)ふ時に霍公鳥(ほとと…

中臣宅守と狭野弟上娘子の贈答歌(15)・・・巻第15-3775~3778

訓読 >>> 3779我(わ)が宿(やど)の花橘(はなたちばな)はいたづらに散りか過ぐらむ見る人なしに 3780恋ひ死なば恋ひも死ねとや霍公鳥(ほととぎす)物思(ものも)ふ時に来(き)鳴き響(とよ)むる 3781旅にして物思(ものも)ふ時に霍公鳥(ほとと…

中臣宅守と狭野弟上娘子の贈答歌(14)・・・巻第15-3775~3778

訓読 >>> 3775あらたまの年の緒(を)長く逢はざれど異(け)しき心を我(あ)が思(も)はなくに3776今日(けふ)もかも都なりせば見まく欲(ほ)り西の御馬屋(みまや)の外(と)に立てらまし 3777昨日(きのふ)今日(けふ)君に逢はずてする術(すべ…

中臣宅守と狭野弟上娘子の贈答歌(13)・・・巻第15-3771~3774

訓読 >>> 3771宮人(みやひと)の安寐(やすい)も寝(ね)ずて今日今日(けふけふ)と待つらむものを見えぬ君かも 3772帰りける人(ひと)来(きた)れりと言ひしかばほとほと死にき君かと思ひて 3773君が共(むた)行かましものを同じこと後(おく)れ…

中臣宅守と狭野弟上娘子の贈答歌(12)・・・巻第15-3767~3770

訓読 >>> 3767魂(たましひ)は朝夕(あしたゆふへ)にたまふれど我(あ)が胸(むね)痛し恋の繁(しげ)きに 3768このころは君を思ふとすべもなき恋のみしつつ音(ね)のみしぞ泣く 3769ぬばたまの夜(よる)見し君を明くる朝(あした)逢はずまにして…

中臣宅守と狭野弟上娘子の贈答歌(11)・・・巻第15-3763~3766

訓読 >>> 3763旅と言へば言(こと)にぞやすきすべもなく苦しき旅も言(こと)にまさめやも 3764山川(やまがは)を中に隔(へな)りて遠くとも心を近く思ほせ我妹(わぎも) 3765まそ鏡(かがみ)懸(か)けて偲(しぬ)へと奉(まつ)り出(だ)す形見…

中臣宅守と狭野弟上娘子の贈答歌(10)・・・巻第15-3759~3762

訓読 >>> 3759たちかへり泣けども我(あ)れは験(しるし)なみ思ひわぶれて寝(ぬ)る夜(よ)しぞ多き 3760さ寝(ぬ)る夜(よ)は多くあれども物思(ものも)はず安く寝る夜は実(さね)なきものを 3761世の中の常(つね)の理(ことわり)かくさまに…

中臣宅守と狭野弟上娘子の贈答歌(9)・・・巻第15-3756~3758

訓読 >>> 3754過所(くわそ)なしに関(せき)飛び越ゆるほととぎす多我子尓毛 止(や)まず通(かよ)はむ 3755愛(うるは)しと我(あ)が思(も)ふ妹(いも)を山川(やまかは)を中にへなりて安けくもなし 3756向(むか)ひ居て一日(ひとひ)もおち…

中臣宅守と狭野弟上娘子の贈答歌(8)・・・巻第15-3750~3753

訓読 >>> 3750天地(あめつち)の底(そこ)ひの裏(うら)に我(あ)がごとく君に恋ふらむ人は実(さね)あらじ 3751白たへの我(あ)が下衣(したごろも)失はず持てれ我(わ)が背子(せこ)直(ただ)に逢ふまでに 3752春の日のうら悲(がな)しきに…

中臣宅守と狭野弟上娘子の贈答歌(7)・・・巻第15-3745~3749

訓読 >>> 3745命(いのち)あらば逢ふこともあらむ我(わ)がゆゑにはだな思ひそ命だに経(へ)ば3746人の植(う)うる田は植ゑまさず今更(いまさら)に国別(くにわか)れして我(あ)れはいかにせむ3747我(わ)が宿(やど)の松の葉(は)見つつ我(…

中臣宅守と狭野弟上娘子の贈答歌(6)・・・巻第15-3736~3744

訓読 >>> 3736遠くあれば一日(ひとひ)一夜(ひとよ)も思はずてあるらむものと思ほしめすな 3737人よりは妹(いも)ぞも悪(あ)しき恋もなくあらましものを思はしめつつ 3738思ひつつ寝(ぬ)ればかもとなぬばたまの一夜(ひとよ)もおちず夢(いめ)…

中臣宅守と狭野弟上娘子の贈答歌(5)・・・巻第15-3731~3735

訓読 >>> 3741命(いのち)をし全(また)くしあらばあり衣(きぬ)のありて後(のち)にも逢はざらめやも [一云 ありての後も] 3742逢はむ日をその日と知らず常闇(とこやみ)にいづれの日まで我(あ)れ恋ひ居(を)らむ 3743旅といへば言(こと)にぞ…

中臣宅守と狭野弟上娘子の贈答歌(4)・・・巻第15-3731~3735

訓読 >>> 3731思ふゑに逢ふものならばしましくも妹(いも)が目(め)離(か)れて我(あ)れ居(を)らめやも 3732あかねさす昼は物思(ものも)ひぬばたまの夜(よる)はすがらに音(ね)のみし泣かゆ 3733我妹子(わぎもこ)が形見(かたみ)の衣(こ…

中臣宅守と狭野弟上娘子の贈答歌(3)・・・巻第15-3727~3730

訓読 >>> 3731思ふゑに逢ふものならばしましくも妹(いも)が目(め)離(か)れて我(あ)れ居(を)らめやも 3732あかねさす昼は物思(ものも)ひぬばたまの夜(よる)はすがらに音(ね)のみし泣かゆ 3733我妹子(わぎもこ)が形見(かたみ)の衣(こ…

中臣宅守と狭野弟上娘子の贈答歌(2)・・・巻第15-3727~3730

訓読 >>> 3727塵泥(ちりひぢ)の数にもあらぬ我(わ)れゆゑに思ひわぶらむ妹(いも)がかなしさ 3728あをによし奈良の大路(おほち)は行き良(よ)けどこの山道(やまみち)は行き悪(あ)しかりけり 3729愛(うるは)しと我(あ)が思(も)ふ妹(い…

中臣宅守と狭野弟上娘子の贈答歌(1)・・・巻第15-3723~3726

訓読 >>> 3723あしひきの山路(やまぢ)越えむとする君を心に持ちて安けくもなし 3724君が行く道の長手(ながて)を繰(く)り畳(たた)ね焼き滅ぼさむ天(あめ)の火もがも 3725わが背子(せこ)しけだし罷(まか)らば白たへの袖(そで)を振らさね見…