大和の国のこころ、万葉のこころ

不肖私がこよなく愛する『万葉集』の鑑賞blogです。

巻第11

鳴る神の少し響みて・・・巻第11-2513~2514

訓読 >>> 2513鳴る神の少し響(とよ)みてさし曇り雨も降らぬか君を留(とど)めむ 2514鳴る神の少し響(とよ)みて降らずとも我(わ)は留(とど)まらむ妹(いも)し留(とど)めば 要旨 >>> 〈2513〉少しでいいから雷が鳴り、空がかき曇って雨でも…

彼方の埴生の小屋に・・・巻第11-2683

訓読 >>> 彼方(をちかた)の埴生(はにふ)の小屋(をや)に小雨降り床(とこ)さへ濡(ぬ)れぬ身に添へ我妹(わぎも) 要旨 >>> 人里離れたこの粗末な埴生の家に、小雨が降り床まで濡れてしまった。妻よ私に寄り添ってくれ。 鑑賞 >>> 「彼方」…

韓衣 君にうち着せ・・・巻第11-2682

訓読 >>> 韓衣(からころも)君にうち着せ見まく欲(ほ)り恋ひぞ暮らしし雨の降る日を 要旨 >>> 韓衣をあの人に着せてみて、その姿を見たいと、恋い焦がれつつ過ごしました。雨の降るこの日を。 鑑賞 >>> 妻が、自身で縫った韓衣を夫に着せてあげ…

朝影に我が身はなりぬ・・・巻第11-2619

訓読 >>> 朝影(あさかげ)に我が身はなりぬ韓衣(からころも)裾(すそ)のあはずて久しくなれば 要旨 >>> 朝影のように私はやせ細ってしまった。なかなか裾の合わない韓衣のように、あなたに逢わない日々が続いているので。 鑑賞 >>> 恋やつれを…

飛騨人の打つ墨縄のただ一道に・・・巻第11-2648

訓読 >>> かにかくに物は思はじ飛騨人(ひだひと)の打つ墨縄(すみなは)のただ一道(ひとみち)に 要旨 >>> あれこれと物思いはするまい。飛騨人の打つ墨縄がまっすぐに伸びているように、ただ一筋にあなたを思っています。 鑑賞 >>> 「かにかく…

夕占にも占にも告れる今夜だに・・・巻第11-2613

訓読 >>> 夕占(ゆふけ)にも占(うら)にも告(の)れる今夜(こよひ)だに来まさぬ君をいつとか待たむ 要旨 >>> 夕占いにも他の占いにも、いらっしゃるとお告げがあった今夜、こんな今夜さえおいでにならないあなたを、いったいいつと思ってお待ちす…

笑みみ怒りみ紐解く・・・巻第11-2627

訓読 >>> はねかづら今する妹(いも)がうら若み笑(ゑ)みみ怒(いか)りみ付けし紐(ひも)解く 要旨 >>> はねかづらを新しく着けた娘は、初々しく、はにかんだりじれたりしながら、身につけた紐を解いていくよ。 鑑賞 >>> 新婚初夜の儀式のはね…

時守の打ち鳴す鼓・・・巻第11-2641

訓読 >>> 時守(ときもり)の打ち鳴す鼓(つづみ)数(よ)みみれば時にはなりぬ逢はなくもあやし 要旨 >>> 時守の打ち鳴らす太鼓の音を数えてみると、もうその時刻になった。なのにあの方が逢いにやって来ないのはおかしい。 鑑賞 >>> 約束の時刻…

あの娘が踏む土になりたい!・・・巻第11-2693

訓読 >>> かくばかり恋ひつつあらずは朝に日(け)に妹(いも)が踏むらむ地にあらましを 要旨 >>> これほどに恋し続けるくらいなら、朝も昼も、あの娘が踏んでいる土になったほうがましだよ。 鑑賞 >>> 恋わずらいに苦しむ男の歌です。どうにもこ…

富士の高嶺の燃えつつ・・・巻第11-2695、2697

訓読>>> 2695我妹子(わぎもこ)に逢ふよしをなみ駿河(するが)なる富士の高嶺(たかね)の燃えつつかあらむ 2697妹(いも)が名も我(わ)が名も立たば惜(を)しみこそ富士の高嶺(たかね)の燃えつつわたれ 要旨 >>> 〈2695〉いとしいあの子に逢う…

千年のように長く・・・巻第11-2387

訓読 >>> 日並(ひなら)べば人知りぬべし今日(けふ)の日は千年(ちとせ)のごともありこせぬかも 要旨 >>> こうして逢う日が度重なれば人目についてしまうでしょう。だから、今日一日が千年のように長くあってほしい。 鑑賞 >>> たびたび逢うわ…

来るの?来ないの?・・・巻第11-2640

訓読 >>> 梓弓(あづさゆみ)引きみ緩(ゆる)へみ来(こ)ずは来ず来ば来そをなぞ来ずは来ばそを 要旨 >>> 梓弓を引いたり緩めたりするようにやたら気をもませて。来ないなら来ない、来るなら来るとはっきりしてちょうだい。それを何ですか、来るだの…

窓越しに月おし照りて・・・巻第11-2679

訓読 >>> 窓越しに月おし照りてあしひきの嵐(あらし)吹く夜(よ)は君をしぞ思ふ 要旨 >>> 窓越しに月の光が明るく差し込んできて、山から嵐が吹きすさぶ夜は、あの方のことを思いつめています。 鑑賞 >>> 斎藤茂吉は、この歌の「窓越しに月おし…