大和の国のこころ、万葉のこころ

不肖私がこよなく愛する『万葉集』の鑑賞blogです。

高市黒人の歌

大和には鳴きてか来らむ呼子鳥・・・巻第1-70

訓読 >>> 大和には鳴きてか来(く)らむ呼子鳥(よぶこどり)象(きさ)の中山(なかやま)呼びそ越(こ)ゆなる 要旨 >>> 大和には今ごろ呼子鳥が鳴いて来ているのだろうか。象の中山を人を呼びながら鳴き渡っている声が聞こえる。 鑑賞 >>> 高市…

いづくにか船泊てすらむ・・・巻第1-58

訓読 >>> いづくにか船(ふね)泊(はて)すらむ安礼(あれ)の埼(さき)漕(こ)ぎたみ行きし棚(たな)無し小舟(をぶね) 要旨 >>> 今ごろいったい何処で舟どまりしているのだろう、安礼の崎を先ほど漕ぎめぐっていった、船棚のない小さな舟は。 …

桜田へ鶴鳴き渡る年魚市潟・・・巻第3-270~271

訓読 >>> 270旅にしてもの恋(こひ)しきに山下(やまもと)の赤のそほ船(ぶね)沖にこぐ見ゆ 271桜田へ鶴(たづ)鳴き渡る年魚市潟(あゆちがた)潮(しほ)干(ひ)にけらし鶴鳴き渡る 要旨 >>> 〈270〉旅先なので何となくもの恋しい。ふと見ると、…

荒れたる京見れば悲しも・・・巻第1-32~33

訓読 >>> 32古(いにしへ)の人に我(わ)れあれや楽浪(ささなみ)の古き京(みやこ)を見れば悲しき 33楽浪(ささなみ)の国つ御神(みかみ)のうらさびて荒れたる京(みやこ)見れば悲しも 要旨 >>> 〈32〉私は遥かなる古(いにしえ)の人なのだろ…