大和の国のこころ、万葉のこころ

不肖私がこよなく愛する『万葉集』の鑑賞blogです。

防人の歌(27)・・・巻第20-4391~4392

訓読 >>>

4391
国々の社(やしろ)の神に幣(ぬさ)奉(まつ)り贖乞(あがこひ)すなむ妹(いも)が愛(かな)しさ

4392
天地(あめつし)のいづれの神を祈らばか愛(うつく)し母にまた言(こと)問はむ

 

要旨 >>>

〈4391〉国々の社の神々に幣を捧げて、私の旅の無事を祈っているだろう妻が愛しい。

〈4392〉天の神、地の神のどの神様にお祈りしたら、愛しい母とまた話ができるようになるのだろうか。

 

鑑賞 >>>

 下総国の防人の歌。4391の「幣」は、神に祈る際に捧げるもの。「贖乞すなむ」の原文「阿加古比須奈牟」で語義未詳ながら、①「贖乞」だとして、災難を逃れるために物を捧げて祈る意、②「我が恋」だとして、私が恋しく思っている意、と解する説があります。「すなむ」は「すらむ」の転。4392の「天地(あめつし)」は「あめつち」の転。