大和の国のこころ、万葉のこころ

不肖私がこよなく愛する『万葉集』の鑑賞blogです。

巻第19

天雲のそきへの極み・・・巻第19-4247

訓読 >>> 天雲(あまくも)のそきへの極(きは)み我(あ)が思へる君に別れむ日近くなりぬ 要旨 >>> 天雲の果てまでも限りなく思っている母上に、お別れしなければならない日が近くなりました。 鑑賞 >>> 阿倍朝臣老人(あべのあそみおゆひと:伝…

我が背子が捧げて持てるほほがしは・・・巻第19-4204~4205

訓読 >>> 4204我が背子(せこ)が捧(ささ)げて持てるほほがしはあたかも似るか青き蓋(きぬがさ) 4205皇祖(すめろき)の遠御代御代(とほみよみよ)はい布(し)き折り酒(き)飲みきといふぞこのほほがしは 要旨 >>> 〈4204〉あなた様が捧げ持っ…

孝謙天皇の御製歌・・・巻第19-4264~4265

訓読 >>> 4264そらみつ 大和(やまと)の国は 水の上(うへ)は 地(つち)行くごとく 船の上(うへ)は 床(とこ)に居(を)るごと 大神(おほかみ)の 斎(いは)へる国そ 四(よ)つの船 船(ふな)の舳(へ)並べ 平(たひ)らけく 早(はや)渡り来…

大宮の内にも外にもめづらしく・・・巻第19-4285~4287

訓読 >>> 4285大宮の内(うち)にも外(と)にもめづらしく降れる大雪な踏(ふ)みそね惜(を)し 4286御園生(みそのふ)の竹の林に鴬(うぐひす)はしば鳴きにしを雪は降りつつ 4287鴬(うぐひす)の鳴きし垣内(かきつ)ににほへりし梅この雪にうつろ…

この雪の消残る時に・・・巻第19-4226

訓読 >>> この雪の消(け)残る時にいざ行かな山橘(やまたちばな)の実(み)の照るも見む 要旨 >>> この雪が消え残っている間にさあ行こう。山橘の実が赤く照り輝いている様を見るために。 鑑賞 >>> 大伴家持の歌です。「山橘」は常緑低木のヤブ…

唐国に行き足らはして・・・巻第19-4262~4263

訓読 >>> 4262唐国(からくに)に行き足(た)らはして帰り来(こ)むますら健男(たけを)に御酒(みき)奉(たてまつ)る4263櫛(くし)も見じ屋内(やぬち)も掃(は)かじ草枕(くさまくら)旅行く君を斎(いは)ふと思ひて 要旨 >>> 〈4262〉唐国…

宴席の歌(2)・・・巻第19-4282~4284

訓読 >>> 4282言(こと)繁(しげ)み相(あひ)問はなくに梅の花雪にしをれてうつろはむかも4283梅の花咲けるが中にふふめるは恋か隠(こも)れる雪を待つとか4284新(あらた)しき年の初めに思ふどちい群れて居(を)れば嬉(うれ)しくもあるか 要旨 …

県犬養命婦が天皇に奉った歌・・・巻第19-4235

訓読 >>> 天雲(あまくも)をほろに踏みあだし鳴る神も今日(けふ)にまさりて畏(かしこ)けめやも 要旨 >>> 天雲をばらばらに蹴散らして鳴り響く雷神の恐ろしさも、今日の天皇の恐れ多さにかないましょうか、かないはしません。 鑑賞 >>> 題詞に…

宴席の歌(1)・・・巻第19-4279~4281

訓読 >>> 4279能登川(のとがは)の後(のち)には逢はむしましくも別るといへば悲しくもあるか 4280立ち別れ君がいまさば磯城島(しきしま)の人は我れじく斎)いは)ひて待たむ 4281白雪(しらゆき)の降り敷く山を越え行かむ君をぞもとな息(いき)の…

壬申の乱の平定せし以後の歌・・・巻第19-4260~4261

訓読 >>> 4260大君(おほきみ)は神にしませば赤駒(あかごま)の腹這(はらば)ふ田居(たゐ)を都と成(な)しつ 4261大君(おほきみ)は神にしませば水鳥(みづどり)のすだく水沼(みぬま)を都と成(な)しつ 要旨 >>> 〈4260〉大君は神でいらっ…

霍公鳥 飼ひ通せらば・・・巻第19-4180~4183

訓読 >>> 4180春過ぎて 夏来向へば あしひきの 山呼び響(とよ)め さ夜中(よなか)に 鳴く霍公鳥(ほととぎす) 初声(はつこゑ)を 聞けばなつかし あやめぐさ 花橘(はなたちばな)を 貫(ぬ)き交(まじ)へ かづらくまでに 里(さと)響(とよ)め …

天雲の行き帰りなむ・・・巻第19-4242~4244

訓読 >>> 4242天雲(あまくも)の行き帰りなむものゆゑに思ひぞ我(あ)がする別れ悲しみ 4243住吉(すみのえ)に斎(いつ)く祝(はふり)が神言(かむごと)と行くとも来(く)とも船は早けむ 4244あらたまの年の緒(を)長く我(あ)が思へる子らに恋…

この我子を唐国へ遣る・・・巻第19-4240~4241

訓読 >>> 4240大船(おほぶね)に楫(まかぢ)しじ貫(ぬ)きこの我子(あこ)を唐国(からくに)へ遣(や)る斎(いは)へ神たち 4241春日野(かすがの)に斎(いつ)く三諸(みもろ)の梅の花 栄(さ)きてあり待て帰り来るまで 要旨 >>> 〈4240〉大…

藤波の影なす海の・・・巻第19-4199~4202

訓読 >>> 4199藤波(ふぢなみ)の影(かげ)なす海の底(そこ)清み沈(しづ)く石をも玉とぞ我(わ)が見る 4200多祜の浦の底さへにほふ藤波をかざして行かむ見ぬ人のため 4201いささかに思ひて来(こ)しを多祜の浦に咲ける藤見て一夜(ひとよ)経(へ…

堅香子の花・・・巻第19-4143

訓読 >>> もののふの八十娘子(やそをとめ)らが汲(く)み乱(まが)ふ寺井(てらゐ)の上の堅香子(かたかご)の花 要旨 >>> たくさんの乙女たちが、入り乱れては水を汲む、寺の境内にある井戸のそばに群がって咲いているカタクリの花よ。 鑑賞 >>…

うらうらに照れる春日に・・・巻第19-4292

訓読 >>> うらうらに照れる春日(はるひ)にひばり上がり心悲しも独(ひとり)し思へば 要旨 >>> うららかに日の照っている春の日に、雲雀の声も空高く舞い上がり、やたらと心が沈む。こうしてひとり物思いにふけっていると。 鑑賞 >>> 家持がこの…

この雪を踏んではならない・・・巻第19-4227~4228

訓読 >>> 4227大殿(おほとの)の この廻(もとほ)りの 雪な踏みそね しばしばも 降らぬ雪そ 山のみに 降りし雪そ ゆめ寄るな 人や な踏みそね 雪は 4228ありつつも見(め)したまはむそ大殿(おほとの)のこの廻(もとほ)りの雪な踏みそね 要旨 >>>…

新しき年の初めは・・・巻第19-4229

訓読 >>> 新(あらた)しき年の初めはいや年に雪踏み平(なら)し常かくにもが 要旨 >>> 新年の初めをいよいよこのように年を重ね、積もった雪を踏みならして平穏に迎え、いつもこんな風でありたいものよ。 鑑賞 >>> 天平勝宝3年(751年)正月2日に…