大和の国のこころ、万葉のこころ

不肖私がこよなく愛する『万葉集』の鑑賞blogです。

をみなへし佐紀沢の辺の・・・巻第7-1346

訓読 >>>

をみなへし佐紀沢(さきさは)の辺(へ)の真葛原(まくずはら)いつかも繰(く)りて我(わ)が衣(きぬ)に着む

 

要旨 >>>

佐紀沢のほとりの葛原よ、いつになったら、糸に繰って私の衣として着ることができるだろうか。

 

鑑賞 >>>

 「草に寄せる」歌。「をみなえし」は、咲きと続き「佐紀」の枕詞。「佐紀沢」は、奈良市佐紀町一帯の沼沢地。「真葛原」の「葛」は、山野に自生するつる草で、秋に紫色の小花をつけ、つるからは布を製し、根からはでんぷんをとります。上3句は少女の譬えで、「我が衣に着む」を、我が妻にすることに譬えています。

 

 

オミナエシ(女郎花)

 秋の七草のひとつに数えられ、小さな黄色い花が集まった房と、枝まで黄色に染まった姿が特徴。『万葉集』の時代にはまだ「女郎花」の字はあてられておらず、「姫押」「姫部志」「佳人部志」などと書かれていました。いずれも美しい女性を想起させるもので、「姫押」は「美人(姫)を圧倒する(押)ほど美しい」意を語源とする説があります。