訓読 >>>
をみなへし佐紀沢(さきさは)の辺(へ)の真葛原(まくずはら)いつかも繰(く)りて我(わ)が衣(きぬ)に着む
要旨 >>>
佐紀沢のほとりの葛原よ、いつになったら、糸に繰って私の衣として着ることができるだろうか。
鑑賞 >>>
「草に寄せる」歌。「をみなえし」は、咲きと続き「佐紀」の枕詞。「佐紀沢」は、奈良市佐紀町一帯の沼沢地。「真葛原」の「葛」は、山野に自生するつる草で、秋に紫色の小花をつけ、つるからは布を製し、根からはでんぷんをとります。上3句は少女の譬えで、「我が衣に着む」を、我が妻にすることに譬えています。