訓読 >>>
眉根(まよね)掻(か)き鼻(はな)ひ紐(ひも)解け待つらむかいつかも見むと思へる我(わ)れを
要旨 >>>
眉を掻き、くしゃみをし、紐も解けて待ってくれているだろうか、いつ逢えるのかと苦しんでいる私のことを。
鑑賞 >>>
「正述心緒(ありのままに思いを述べた歌)」。「眉根掻き鼻ひ紐解け」にある、眉がかゆい、くしゃみが出る、下紐が自然にほどける、の3つの現象は、恋人に逢える前兆とされました。ちなみに、なぜ眉がかゆいと恋人に逢える前兆とされたのかは、中国古典の恋愛文学『遊仙窟』に「昨夜根眼皮瞤 今朝見好人(昨夜、目の上がかゆかった、すると今朝あの人に会えた)」という一文があり、その影響ではないかといわれます。「いつかも見む」は、いつになったら逢えるのだろうか。