大和の国のこころ、万葉のこころ

不肖私がこよなく愛する『万葉集』の鑑賞blogです。

巻第6

高円山に迫めたれば・・・巻第6-1028

訓読 >>> ますらをの高円山(たかまとやま)に迫(せ)めたれば里(さと)に下り来(け)るむざさびぞこれ 要旨 >>> 勇士たちが高円山で追い詰めましたので、里に下りてきたムササビでございます、これは。 鑑賞 >>> 大伴坂上郎女の歌。題詞に次の…

食す国の遠の朝廷に・・・巻第6-973~974

訓読 >>> 973食(を)す国の 遠(とほ)の朝廷(みかど)に 汝(いまし)らが かく罷(まか)りなば 平(たひら)けく 我(わ)れは遊ばむ 手抱(たむだ)きて 我れはいまさむ 天皇(すめら)我(わ)れ うづの御手(みて)もち かき撫(な)でぞ ねぎた…

明日さへ見まく・・・巻第6-1014

訓読 >>> 一昨日(をとつひ)も昨日(きのふ)も今日(けふ)も見つれども明日(あす)さへ見まく欲しき君かも 要旨 >>> 一昨日、昨日、そして今日もお目にかかりましたが、さらに明日もまたお目にかかりたいと思うあなた様です。 鑑賞 >>> 作者の…

佐保風はいたくな吹きそ・・・巻第6-979

訓読 >>> 我が背子が着(け)る衣(きぬ)薄し佐保風(さほかぜ)はいたくな吹きそ家に至るまで 要旨 >>> 私のあの人の着ている衣は薄いので、佐保の風はきつく吹かないでください、家にあの人が帰りつくまでは。 鑑賞 >>> 大伴坂上郎女の家を、甥…

三日月の眉根掻き・・・巻第6-993~994

訓読 >>> 993月立ちてただ三日月の眉根(まよね)掻(か)き日長く恋ひし君に逢へるかも 994ふりさけて若月(みかづき)見ればひと目見し人の眉引(まよび)き思ほゆるかも 要旨 >>> 〈993〉姿をあらわしてたった三日という細い月のかたちの眉を掻いて…

白珠は人に知らえず・・・巻第6-1018

訓読 >>> 白珠(しらたま)は人に知らえず知らずともよし 知らずともわれし知れらば知らずともよし 要旨 >>> 真珠は、その真の価値を人に知られない。しかし、世の人が知らなくてもよい。たとえ世の人が知らなくても、自分さえ知っていれば構わない。 …