大和の国のこころ、万葉のこころ

不肖私がこよなく愛する『万葉集』の鑑賞blogです。

東歌(26)・・・巻第14-3455

訓読 >>>

恋(こひ)しけば来ませ我が背子(せこ)垣(かき)つ柳(やぎ)末(うれ)摘(つ)み枯らし我(わ)れ立ち待たむ

 

要旨 >>>

私が恋しいと言うのなら、いらして下さい、あなた。垣根の柳の枝先を枯れてしまうほど摘みながら、立ち続けてお待ちしています。

 

鑑賞 >>>

 「恋しけ」は、形容詞の「恋し」の未然形。「ば」は、仮定条件。「垣つ柳」は、垣根の柳。「末」は、草木の枝や葉の先。恋人を待ち続けている乙女の歌で、所在なさのあまり、芽吹いたばかりの柳の新芽を、じれったそうに次々と摘んでは捨てています。ほのぼのとした情景が浮かんでくるようです。