大和の国のこころ、万葉のこころ

不肖私がこよなく愛する『万葉集』の鑑賞blogです。

寝よとの鐘は打つなれど・・・巻第4-607

訓読 >>>

皆人(みなひと)を寝よとの鐘(かね)は打つなれど君をし思へば寐(い)ねかてぬかも

 

要旨 >>>

みなさん、寝る時間ですよと鐘は打たれるけれど、あなたのことを思うと、とても眠れません。

 

鑑賞 >>>

 笠郎女大伴家持に贈った歌。「皆人を寝よとの鐘」の「鐘」は、当時の都にあった陰陽寮(おんみょうりょう)という役所が時刻を知らせるために鳴らしていた鐘のこと。寝る時刻の鐘は、亥の刻(午後10時)に鳴らされていたかといわれます。