大和の国のこころ、万葉のこころ

不肖私がこよなく愛する『万葉集』の鑑賞blogです。

はなはだも夜更けて・・・巻第10-2336

訓読 >>>

はなはだも夜更(よふ)けてな行き道の辺(へ)のゆ笹(ささ)の上に霜(しも)の降る夜(よ)を

 

要旨 >>>

こんなにも夜が更けてから帰らないでください。道端の笹に霜が降りてくる寒い夜なのに。

 

鑑賞 >>>

 「通い婚」の時代にあって、女が男の帰るのを惜しんで、なるべく引き留めようとする歌はかなり多くあります。この歌について斎藤茂吉は、万葉の歌はこのように実質的、具体的だからいいので、後世の「きぬぎぬのわかれ」的に抽象化してはおもしろくない、と言っています。

 「はなはだも」は非常に、とても、の意。「な行き」の「な」は禁止を意味する語、「ゆ笹」の「ゆ」は接頭語です。

 

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